2020年度活動レポート(一般公募プログラム)第023号 (オンライン)
オンライン交流「フォローアップと未来へ」活動報告
広島大学大学院統合生命科学研究科附属臨海実験所からの報告
2020年度さくらサイエンスプログラム・オンライン交流事業(フォローアップ支援)に採択されたオンライン交流計画のテーマ「フォローアップと未来へ」を、2021年1月18日(月)及び19日(火)の2日間、広島大学大学院統合生命科学研究科附属臨海実験所にて実施した。本実験所にてJSTさくらサイエンスプログラムで過去に招へいした2018年度及び2019年度の招へい者に加え、次年度へ実施延期可能となった2020年度の招へい者を加えた、ジョイントプログラムとして実施した。参加機関としては、インドネシアから過去に招へいした機関(国立イスラム大学マラン校、同スラバヤ校、同アラウディン・マカッサル校、同トゥルンガグン校、そしてジェンベル大学の5大学)に加え、本学と既に国際交流協定を締結しているインドネシアのブラウィジャヤ大学が新規参画した。申請の段階では確認が取れていなかった台湾からも過去に招へいした国立中興大学が最終的に参加し、計2国の7大学から参加した形で実施した。インドネシアからの参加者が多数を占めるので、開始時刻や休憩時間等、インドネシアを基準として実施した。
具体的な実施内容としては、初日1月18日の日本時間11時半に開始して、JST SSP 2018年度、同2019年度にそれぞれの参加した引率教員、ならびに参加学生の当時の経験に関して一人ずつ発表してもらい、本年度実施できない 2020年度の教員や学生に具体的な実施内容を説明してもらった。それと同時に、各学生の現状についても報告してもらい、他大学の院生になっている学生や、既に就職している元学生など、様々な状況がうかがえた。また参加した引率教員のうち一人が、現在広島大学の博士後期課程への進学を2021年度秋に予定していることや、奨学金に申請して広島大学への留学を計画している学生等が明らかになった。その後、県立広島大学の阪口教授から「海洋微生物によるセレンとテルルの変換と回収」に関する特別講義を受講し、魚や棘皮動物のような海洋生物から単離された細菌が、ヒトの必須栄養素であるセレンや同族元素のレアメタルであるテルルを産出可能なことを学んだ。
午後のセッションは午後1時(日本時間午後3時)に開始した。そして、国立イスラム大学マラン校、ジェンベル大学、国立イスラム大学アラウディン・マッカサル校、同スラバヤ校、同トゥルンガグン校、ブラウィジャヤ大学、国立中興大学の順に、各大学や学部の説明ならびに研究内容に関する説明を受け、今後の共同研究や交流の可能性について考える基礎となった。初日は、インドネシア時間の午後4時40分(日本時間の午後6時40分)頃まで,ウェブにもかかわらず予定時間を越えて7時間余りに及んだ。
2日目の1月19日はさくらサイエンスプログラムに関する説明を実施し、その後、2020年度の参加予定者による自己紹介と、意気込みについて話してもらった。その後、広島大学大学院統合生命科学研究科基礎生物学プログラムの森下助教による「軟体動物腹足類の神経ペプチドの構造と機能:特に翻訳後の修飾に関して」の特別講義を受けた。そして、昼食休憩を挟み、次世代ナノポアシークエンサーMinIONによる、無腸動物のゲノムを用いた実験の演示を実施した。参加者は、次世代ポータブルシークエンサーに興味津々で,低価格であることや利便性から、インドネシア各大学でも今後購入の検討をしたいとのことだった。休憩を挟んで,最後は、将来的な共同研究やJSTさくらサイエンスに関しての議論を実施した。各大学が、今後海洋生物学を中心とした共同国際会議などの共同開催に関する提案や、学生や教員の相互交流に関して、またマリンバイオロジーコースなど実習を各国持ち回りでの共同開催提案などの活発な議論がなされた。さくらサイエンスプログラムの科学技術体験コースAで招へい可能な人数は、複数機関から一度に最大15名と限られているので、一人でも多くの優秀な学生を招へいできるように、今後考えていきたい。