2020年度 活動レポート 第11号:北里大学

2020年度活動レポート(一般公募プログラム)第011号 (オンライン)

韓国由来溶血性レンサ球菌株を用いた全ゲノム配列における特性の解明

北里大学 大村智記念研究所 感染症学研究室からの報告

交流背景・目的

参加機関となる大韓民国・慶尚国立大学・医学部は同国の南部に位置し、地域の中核となる国立大学医学部であり、同附属病院を併設して地域医療を担っている。優秀な学生を同医学部に集約し、同大学院への進学を通じて生命科学の研究を実践している。2015年1月/2016年1月/2017年1月、さくらサイエンスプログラム共同研究活動の支援を受け、同医学部生(5名)を当研究室にて受け入れ、実験手技・研究計画を指導してきた。これを契機として、双方の研究室訪問を行うなどの交流を継続している。しかし、2020年度ではコロナ禍の影響により、互いの研究室を訪問することが不可能となり、代替案としてオンライン交流を開始することとなった。互いの研究室が有するデータ解析技術を共有することで、共著論文の準備作成へ繋げることを目的とする。

交流内容

溶血性化膿レンサ球菌は人に対する病原細菌の1種である。同国においても本菌は局所化膿疾患や全身性重篤疾患を惹起している。しかし、同国由来溶血性レンサ球菌がどのように病原性を獲得し、進化しているか不明である。そこで、1997年~2017年(20年間)に分離された本菌87株を活用し、その全ゲノム配列を入手してゲノムベースで病原性配列や進化を示す配列を推定する共同研究を開始した。全てのゲノム配列は同国にて解明し、米国NCBIデータベースへの登録は完了している。

今回、オンライン上で共有した同ゲノム配列を用いて病原性配列や進化配列を推定するデータ解析技術をあらためて確認し、双方の研究室が実践できることが主要な内容となる。

具体的な内容として、以下の5段階を展開した。

  • 「共同研究の進捗状況共有のための打合せ」
  • 「データ解析技術のレクチャー」
  • 「研究成果の共有と質疑応答」
  • 「論文投稿へ向けた共著論文内容の確認とさらなる修正」
  • 「今後の共同研究に関するディスカッション」

交流成果と課題

オンライン交流は2021年1月14日が最終となった。共著論文アウトラインが完成し、微細な加筆修正を残すのみとなり、同交流の成果と期待できる。ただし、短期間でのオンライン交流における課題として、双方向性の難しさを感じた。即ち、今回のオンライン交流では当研究室がホスト、先方の研究室がゲストとして展開したが、時にホスト⇒ゲストへの一方向性となる場面に遭遇したからである。