2019年度活動レポート(一般公募コース)第440号 (Aコース)
タイ・コンケン大学生が栃木で日本の農業を体験
宇都宮大学からの報告
2020年2月12日早朝にコンケン大学農学部農業経済学科(タイ)の総勢11名が、成田空港に元気な姿を現したときには、正直ホッとしました。新型コロナウィルス騒動が始まりつつあったからです。当初予定していた浅草寺や仲見世通り散策を中止したのもそのためです。波乱含みの招へいとなりましたが、後述のとおり、研修・交流活動は順調に進められたのは幸いでした。
プログラム序盤は、日本の農業問題、地域農業、農産物流通に関する講義を受講しました。緑茶の生産・流通構造の講義では生産整備や施設投資に対する補助金制度の有無等のクリティカルな質問が多く出されました。また、インバウンドを含む旅行者支出の地域農業への影響分析の講義では、産業連関分析のためのプログラムに対する関心が高いことがわかりました。
2日目の午前は、日本の農業・農村整備の現況を受講し、東北タイ農業・農村との違いをあらためて認識したようです。
午後は、大学から約1時間バスに乗って、道の駅「もてぎ」を訪問。創設20年の事業展開プロセスの説明を受け、実際の販売や加工、飲食等の現場を視察しました。東北タイの各地でも地産地消は実践されていますが、それとは一味違う日本式地域振興策に感心していました。
3日目以降は、フィールド調査・視察を中心にプログラムを組みました。(株)誠和が運営するトマトパークでは、大玉、高糖度、減農薬、次世代LEDの5つのハウスごとに説明を受けながら、施設トマト生産の最先端の技術を視察しました。この施設が民間企業によって運営されていることに学生たちは驚いていました。
その後、「MASHIKO STRAWBERRY FARM」にて、いちご狩りを楽しみ、その甘さに驚嘆するとともに、経営主に対して客層や経営状況などについて熱心に質問していました。翌日の午前は日光東照宮を見学しました。建築物の荘厳さ、うっそうとした杉林、装飾彫刻等に間近に触れ、日本の文化と自然を堪能かつ感動していました。
午後は旧今市市の清酒醸造場にて、清酒の製造方法や販売について学びました。流暢な英語を話す社長に対して、農業経済学科の学生らしくフードシステムに関わる質問が多く出され、普通酒から吟醸・大吟醸酒までを試飲できて大変喜んでいました。
最終日は、学生が二人一組になってテーマ毎に研修報告を行いました。発表内容も時間もコンパクトにまとめられ、周到に準備していたことが窺えました。また、各報告とも宇都宮大学の教員・学生のホスピタリティーの良さに感謝の意を表してくれたことに、当方としても達成感を覚えました。
2月18日早朝、成田空港を発ち、その夜、無事コンケン到着の報を受け、ホッとしたものの、教員・学生ともども2週間自宅待機を大学から命ぜられたとのこと!
思えば、ギリギリの時期の招へいだったことをあらためて感じさせられました。