2019年度 活動レポート 第430号:芝浦工業大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第430号

マレーシア工科大学(UTM:University of Technology Malaysia)との研究型gPBL

芝浦工業大学機械機能工学科
前田 真吾さんからの報告

今回、さくらサイエンスプログラムによる支援を受け、マレーシア工科大学(UTM)のProf. Ahmad Athif Mohd Faudziの研究グループと、研究型GPBLを実施致しました。UTMから芝浦工業大学へ来られたのは教員1名、研究員3名、大学院生5名、学部生2名の計11名でした。2020年2月14日から2月22日の間で、芝浦工業大学とUTMの共同研究活動を行いました。

近年、やわらかさを有する機械システムやソフトロボットに注目が集まりつつあります。これまでのメカトロニクスやロボティクスとは異なる価値観を有しており、ソフトロボットは適応・適当といった人が本質的に有する性質に根ざした学際領域です。これまでProf. AHMAD 'ATHIF BIN MOHD FAUDZIとは交流を続けており、2019年度にはマレーシア工科大学でソフトアクチュエータに関するセミナー、ワークショップやGPBLを実施しております。

本プログラムは、私が主宰するSmart Materials Laboratoryのメンバーを中心に誘電エラストマーに関する研究や共同研究の可能性について議論をすることです。現在、芝浦工業大学において学内プロジェクトとして「ソフトマシン」事業が学内横断研究として立ち上がっております。今回、ソフトマシンのメンバーから、細矢教授(機械機能工学科)、Premachandra准教授(電子工学科)、重宗助教(電気工学科)らに協力を頂き、UTM側と交流を図りました。

講演会、交流の様子1
講演会、交流の様子2

GPBL中に講演会を開催し、Prof. AHMAD 'ATHIF BIN MOHD FAUDZIによる”Bio-inspired Robots and Its Application”という演題で講演頂きました。芝浦工大から橋村教授(機械機能工学科)、山本教授(機械機能工学科)、重宗助教(電気工学科)、李助教(情報通信工学科)、Wiranata氏(Smart Materials Laboratory、博士課程生)らの講演、話題提供を頂き議論しました。その後、細矢教授、橋村教授、Premachandra准教授、松日楽教授の研究室の見学会を開催しました。

講演会、交流の様子3

私は、Smart Materials Laboratoryにおいて誘電エラストマーアクチュエータ(Dielectric Elastomer Actuator: DEA)に関する研究を推進しています。DEAは、ゴムが柔軟な電極で挟まれた構造をしています。その電極間に電位差を加えることで、静電力によって厚さ方向にゴムが圧縮され、平面方向にゴムが伸張するためアクチュエータとして利用することが可能です。さらにDEAはアクチュエータだけでなく、キャパシタ構造を有することからセンサ・発電にも展開できます。

実験の様子1

DEAの作成手順、理論についても議論しました。私の研究室で独自に開発しているエラストマーに均一な歪を加える装置の作成方法、カーボンナノチューブを塗布して柔軟電極を作成する手法まで丁寧に解説しました。実際に全員がDEAを駆動させることに成功しました。

実験の様子2

最終日にはプレゼンテーションを通して、Prof. AHMAD 'ATHIF BIN MOHD FAUDZIらの研究グループとの可能な共同研究について議論し、今後の見通しを得ました。特に芝浦工大への留学を希望する学生や研究員らとは、かなり具体的なプランについて議論しました。芝浦工大が有する留学制度等を国際部から説明し、継続的に研究交流を深めることができましたことを報告致します。