2019年度 活動レポート 第421号:早稲田大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第421号

環境・エネルギー分野における先端的な科学技術教育ならびに人材育成方法を学ぶ

早稲田大学 大学院環境・エネルギー研究科
納富 信さんからの報告

2020年1月5日~11日の一週間、北京大学環境科学与工程学院の大学院生・教員7名を招いて、さらに本学の大学院生も参画しながら、日本の環境・エネルギー分野の中の、エネルギー供給、3R、モビリティ、市民活動、高等教育機関での研究教育、を対象とした先進的な科学技術ならびにマネジメント・人材育成を学ぶプログラムを、講義、現場訪問、意見交換にて実施しました。

(1)持続可能な発展に向けた技術・人材育成(2020年1月6日)

  • 長岡技術科学大学の李志東教授を招いて、エネルギー・環境技術の現状と展望について講義をいただき、特にエネルギー供給における日本と中国の違いを明確に理解しました。
  • 弊学環境保全センター事務長の松尾亜弓氏から、大学での化学物質管理の取り組みについて話を伺い、研究活動での化学物質の分析手法習得などへの積極的なサポートが、高度な技術者育成に貢献することを理解しました。
環境保全センターの見学

(2)環境・エネルギー技術開発(2020年1月7日~8日)

  • 国内でも最高レベルの発電効率を誇るJERA川崎火力発電所を見学し、先端的な環境対策やエネルギー有効利用技術の適用の可能性について理解を深めました。
  • 横浜市の市民・企業参加型の風力発電事業ハマウィングと水素利活用システムを見学し、次世代の環境配慮型地域分散エネルギーシステムへの理解を深めました。
  • 国内随一のOA機器3Rシステムを運営するリコー御殿場事業所を見学し、地域循環型社会構築への取り組みを学びました。人材育成、地域共生活動など、中国における3Rシステム展開に向けても学ぶことが多くありました。
  • 次世代モビリティの研究開発をしている日産自動車先端技術開発センターを見学し、特に電気自動車の研究開発の現状、環境分野への取り組み、そして持続的な企業経営に向けた人材育成の紹介を受け、技術者のあるべき姿を学びました。
JERA川崎火力発電所見学

(3)市民活動・人材育成(2020年1月9日)

認定NPO環境文明21代表の藤村コノヱ氏からNPO活動の紹介を受け、特に政策提言の過程では、市民の想いを一つに集約して発信することの大切さと難しさを学びました。

また、JERA 人事・総務本部 人財育成室の川島謙一郎氏から、同社におけるビジネス展開と人材育成を紹介いただき、社会の安定性を最優先に考えることが、却って地域での事業実施の困難さがあることも理解しました。

JERA 川島氏の講義
学生ディスカッション

(4)最終成果発表会(2020年1月10日)

日中大学院生混成の3グループ(政策、技術、市民・企業)が、本プログラムで学んだことを英語で発表・質疑応答しました。協働を通じて深い“つながり”が構築されました。

学生発表会

本プログラムを通じて、持続可能な社会構築のための課題を、政策、技術、市民・企業活動、教育研究という視点から現状把握と日中比較をおこない、あるべき姿を考察しました。日中両大学院の協働によって実施されたことに大きな意義があると考えます。