2019年度活動レポート(一般公募コース)第419号
ナノ材料に関するネパールとの国際共同研究
名城大学
丸山 隆浩さんからの報告
名城大学では、2020年1月7日から18日にかけて、ネパール・カトマンズのトリブバン大学およびプルバンチャル大学から大学院生および学部学生9名と引率のJyoti助教を迎え、ナノ材料研究を中心に日本の先端科学技術を紹介する国際交流プログラムを実施しました。
7日の朝早く、招へい学生の一行を中部国際空港に迎えました。空港からは本学天白キャンパスにそのまま移動し、オリエンテーションを行った後、本学の赤﨑・天野ノーベル賞記念展示室やナノマテリアル研究センター、光デバイス研究センターの施設見学を行いました。
滞在中は、注目されるナノ材料の一つであるカーボンナノチューブや六方晶窒化ホウ素に関する実験を行いました。化学気相成長(CVD)法の原理の紹介の後、実際にカーボンナノチューブの作製を体験してもらいました。また、トリブバン大学で作製した試料を、走査電子顕微鏡やX線光電子分光、ラマン分光により評価し、共同研究を行いました。
さらに、本学のナノマテリアル研究センターの教員の協力を得て、ナノ粒子やカーボンナノチューブの透過電子顕微鏡観察やナノシートの作製と観察実験を行いました。これに加え、あいちシンクロトロン光センターとトヨタ産業技術記念館を訪問し、放射光を利用した最先端の分析手法を紹介し、また、日本の近代産業技術史に関する理解を深めてもらいました。
10日には、名城大学とトリブバン大学、プルバンチャル大学の合同シンポジウムを行い、各大学の学生が自分の研究について発表しました。また、カーボンナノチューブの発見者である本学の飯島澄男教授にも講演いただきました。飯島教授の名前を知っている学生も多く、終了後は飯島教授を囲んでの写真撮影会となりました。午後には本学応用化学科の学生がポスター発表を行い、研究交流を行いました。
以上に加え、日本の伝統文化を体験してもらうため、熱田神宮や八事興正寺を参拝しました。松の内が明けたばかりの境内は華やかな晴れ着姿の人々で賑わい、その艶やかな姿に、招へい学生の皆さんもすっかり魅了された様子でした。また、日本文化を体感してもらうため、書道教室を実施しました。師範の先生からの日本の書道の歴史についての説明のあと、招へい学生の皆さんに書道を体験してもらいました。筆を手にするのは初めての学生ばかりでしたが、皆さん楽しんで取り組み、最後には立派に仕上げることができました。
最終日の17日には、本学の応用化学科の大学院生・学生の前で、招へい学生全員が、本プログラムでの体験や実験結果について成果発表を行いました。皆さん、最先端の実験設備を用いて実験できたことで、とても満足そうでした。また、清潔で洗練された日本の街に感動したとの感想もありました。
短期間ではありましたが、研究や科学技術の紹介にとどまらず、大学間の教員・学生の交流も深まり、本学にとっても有意義なプログラムであったと確信しています。今後は大学間や日本とネパールの二国間の交流をさらに発展させていきたいと考えています。