2019年度活動レポート(一般公募コース)第410号
カンボジアにおける薬学領域の人材育成を志向した、最先端薬学研究の研修
熊本大学大学院生命科学研究部からの報告
カンボジア保健科学大学は、薬・医・歯・看護学部を擁する国立大学で、薬剤師、医師等の養成、および保健省の一機関として保健行政への関与で重要な役割を担っています。カンボジアの発展に貢献する次世代のリーダを養成する目的で国際交流を積極的に進めていることから、熊本大学薬学部は学部生の交換留学や大学院留学受け入れも視野に入れつつ、従前より交流を深めてきました。
今回、2020年1月24日から31日までの8日間、薬学部から4年生(5名)と最終学年の5年生(5名)および引率教員(1名)の11名を熊本大学薬学部へ招へいし、薬学分野の最先端研究に関する講義および実習と、水銀による環境汚染と中毒をテーマにした課外教育活動を行いました。毎日活動終了後に討論と総括の時間を設けてまとめさせ、最終日にはポスター発表を行いました。
カンボジア保科大薬学部は9割が女子学生で、招へいした学生は女性だけの構成で華やかでした。日常生活および講義と実習は英語で行われましたが、コミュニケーションは全く問題なく、加えてフランス語も話せるとのことで言語能力が素晴らしい。積極的に講義と実習に取り組む姿勢は印象深く、物事のポイントをよく理解し纏める力があることも、最終日のポスター作成で発揮されました。学生たちは、最先端研究の講義を楽しんでいましたが、一方で有機合成、動物実験や無菌操作など手と身体を動かすことが新鮮で印象的だったそうです。担当した教官からは、大変真面目で興味を持って積極的にプログラムに参加していたと、高評価でした。
加えて、今回は熊本大学薬学部で学位を取得して活躍している若いネパール人教員に深く関わっていただき、熊本大学で学位を取得して日本で働く道の存在を伝えました。その甲斐あって、アンケートでは卒業後本学への進学に強い興味があると答えた学生が数名おりました。実際に留学につなげるには学費免除や生活費の支援などのハードルがあり、カンボジア保科大および熊本大学の双方の知恵が必要です。
カンボジアの人は基本的にとても親日的です。学生たちも引率教員も、最初から日本に好印象でした。食事では、定食、寿司、天ぷら、蕎麦、うどん、熊本ラーメン、馬刺し、たこ焼きなどを楽しみました。日本人学生とは特に昼夜食事を通して交流があり、毎日4人くらいが入れ替わり立ち替わりで行動を共にしました。カンボジアでは、グループで色々なおかずを共有して食べるのが普通で、加えて皆少食で、外食は場所やメニューで苦労しました。
そのほか、路面電車、新幹線など、発展し安定した日本の公共交通機関による移動も堪能しました。熊本といえば「くまモン」ですが、たいそう気に入った様子で、お土産には大量のくまモングッズが選ばれておりました。
総じて、今回の受け入れを通じてこれらの優秀な学生に、熊本大学大学院生命科学研究部で教育を受ける魅力、熊本で生活する魅力を、十分に知っていただけたと思います。今後も、さくらサイエンスプログラムを通じて、カンボジア保科大との学生交流を促進できれば、熊本大学大学院生命科学研究部としては大きな喜びです。