2019年度活動レポート(一般公募コース)第404号
ものづくりに携わる浙江省科学技術庁および地方職員との交流と産学官への訪問
日本技術士会栃木県支部からの報告
令和元年8月25日~8月31日に、公益社団法人日本技術士会栃木県支部は「さくらサイエンスプログラム」の支援を受けて、中国浙江省科学技術庁の地方職員と随行員11名を招へいし、併せて自己負担による中小企業者29名も受け入れました。この間、大学、栃木県の研究施設および製造業各社を見学し、日本側の専門家との技術交流を精力的に行いました。
日本科学未来館では人間ロボットをはじめとした日本の先端技術に触れ、大変興味を持って見学しました。2019イノベーション・ジャパン-大学見本市では各大学が先端技術への取り組みに熱心に聞き入っていました。各大学の研究成果のパンフレットを、皆さん沢山集めておりました。
栃木県産業技術センターでは所長より現在取り組んでいる業務内容についての説明を受けました。地元中小企業の技術相談や共同研究の内容について担当者から詳細説明がありました。電子機器の電磁波妨害源探査装置をはじめ、日本酒の発酵技術研究等の研究施設を見学し、質疑応答が行われました。
宇都宮大学工学部では工学部長より歓迎のあいさつと、現在取組んでいる研究内容の説明があり、その後構内の主にロボットの研究施設を見学しました。介護用ロボットや、栃木県特産のイチゴの摘み取りロボットが大きさや完熟度を識別して収穫する様子を興味深く見学しました。
宇都宮市のごみ処理施設(グリーンパーク茂原焼却ごみ処理施設)とリサイクル施設(グリーンパーク茂原リサイクルプラザ)を見学しました。浙江省には今まで焼却施設がなく、今年ようやく完成したとのことで、大変興味深く見学してました。リサイクル施設では瓶が色により識別されることに感心してました。
民間企業訪問では㈱長府製作所宇都宮工場を見学し、暖房機器やソーラーシステムの生産ラインを見学しました。写真の撮影を許可して戴いたので皆さんは激写しておりました。
菊地歯車㈱は航空機、自動車、建設機械、印刷等の幅広い産業分野の歯車を手掛けており、ミクロン単位の精度の歯車も扱っています。社長より精度の高い斬新的なものづくりへの心構えやその過程の苦労話や工作機械の導入に関する話がありました。足利市はものづくり企業が多い土地柄ですが、5Sの実践企業としても名高く、熱心にメモを取っておりました。その後工場内を見学しました。
㈱オプトニクス精密は超微細加工技術により精密分野や医療機器/バイオ等、幅広い分野で超微細製品の製造販売会社であります。研究所を案内してもらった後、社長を講師として「ミクロの世界のものづくり」のセミナーを開催しました。
日立グローバルライフソリューションズ㈱では冷蔵庫の生産ラインを見学しました。
浙江省は栃木県の友好姉妹都市で、交流員となる職員を互いに交換したり、科学技術交流に重きをなした関係を持っています。この度の栃木県庁副知事表敬訪問は熱烈歓迎を受け、その様子は新聞2紙に掲載されました。
セミナーは2回開催しました。1回目は「ミクロの世界のものづくり」を㈱オプトニクス精密の社長を講師として。2回目は「少量多品種の生産システム」「工程改善による収益向上方法」を私共技術士会の会員が講師を務めました。いずれも大変熱心にメモを取り、カメラに収め聴講されました。質問も多く充実したセミナーとなりました。
滞在期間中、日光の自然を楽しんで貰うため、湯滝、竜頭の滝を観て中禅寺湖畔を散策いたしました。半日の短い時間でしたが、皆さん喜んでくださいました。
見学を主体とした業務計画を立てましたが、少しでも多くの訪問ができるようにしましたので楽しく忙しい1週間でした。日本技術士会栃木県支部は浙江省科学技術庁傘下の浙江省対外科学技術交流中心と技術交流の覚書を結んでいます。人と技術の交流は従来より行っておりましたが、「さくらサイエンスプログラム」を活用させて戴いたことで若い方々との交流ができたことは大きな成果でした。「さくらサイエンスプログラム」に深く感謝申し上げます。今後ともより良い関係を作って行きたいと思います。
尚、招へいした2か月後浙江省を訪問した折参加者の方々とお会いしましたが、皆さん大変感謝されており、機会があれば再来日を果たしたいとの声がきかれました。