2019年度 活動レポート 第402号:東京農工大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第402号

バングラデシュの若手教員のための科学技術研修プログラム

東京農工大学機械システム工学専攻 西田研究室
特任助教 古川 武留さんからの報告

交流計画テーマ

無電極電気推進機の実験技術習得

招へい者

Md Sharifuzzaman 1名

[International University of Business Agriculture & Technology (IUBAT)、 Bangladesh]

さくらサイエンスプログラム申請背景

招へい者は、機械工学分野の授業を担当する大学講師の身分の傍ら宇宙工学に関心があり、将来宇宙工学分野での博士号取得を希望しています。特に宇宙推進に興味を抱き、長寿命化が期待される無電極rf(radio frequency: 高周波)宇宙推進機を研究する本研究室に複数回、熱心なコンタクトを取っておりました。招へい者自らがさくらサイエンスプログラムによる科学技術研修コースを調査・提案し、これを受けて、訪問期間・時期を鑑みて受け入れ可能と判断し、今回の申請に至りました。

実験装置説明時の招へい者

活動内容

2020年2月20日から29日の10日間、無電極電気推進機の実験的研究を行う東京農工大学工学部機械システム工学科西田研究室において、招へい者は上記テーマの下で主に実験同伴および計測機器製作を通じて学んでいただきました。

プログラム初日は、事務手続きにかかる書類作成と簡単なガイダンスを行ったのち、研究室学生と自己紹介を行いました。キャンパス内の施設を案内後、研究紹介も兼ねて本研究担当の学生に簡単な研究発表をしていただきました。英語によるの質疑応答、議論を展開することで、招へい者に研究内容を理解していただきました。その後、実験室の簡単な紹介を行いました。

21日から本格的に本実験に関する活動を行っていきました。最初は本実験を行う上で必要となる装置機器およびそれらオペレーション方法の説明を行い、電気推進機実験を行うにあたって最低限必要なノウハウを学んでいただきました。

また、プラズマ計測法の一つである静電プローブ計測(プラズマからの電気的信号を取得することでプラズマ諸量の計測が可能)のプローブ作製を学生と一緒に進めました。

真空装置内プローブ設置時の様子
プローブ作製時の様子

今回はプローブ計測法の一つであるダブルプローブ法によるプラズマ密度と電子温度計測を学生と行いました。pythonを用いたプラズマ計測による取得実験データの解析方法もレクチャーし、実際に手を動かしてプラズマ諸量の導出理論を学んでいただきました。

プローブ実験により得られた実験結果の考察・理解を深めてもらうために、簡単スライド発表を課し、帰国前日にその発表ディスカッションを行いました。非常に短期間であったものの、よく理解してまとめられていました。

実験室内での学生説明の様子

その後は学生と大学キャンパス内にある科学博物館を見学し、農工大にゆかりある日本の紡績業についての知識を深めていただきました。また招へい者と教員、学生数名とで懇親会の意を込めてお好み焼き屋に行き、初のお好み焼きを堪能していただきました。

プログラム期間には、招へい者と学生とともに上野国立科学博物館を1日見学し、電気推進以外の生物学や科学技術に関する内容を学びました。また、招へい者は休日に浅草の雷門やスカイツリー、滞在地の府中近辺の観光・散策を楽しんでおり、異文化交流の点でも良い経験となったと思います。

上野国立科学博物館出口にて

学生の国際交流の観点で、積極的に招へい者の昼食等のケアをしてもらい、英語でのコミュニケーションに慣れる機会を与えることができたことは良かったです。

最後に、今回このような貴重な機会を与えていただいた「さくらサイエンスプログラム」、学内の事務職員及び教員に心からお礼申し上げます。