2019年度活動レポート(一般公募コース)第399号
環境問題の改善に貢献する人材の育成
大阪府立大学 現代システム科学域
教授 興津 健二さんからの報告
2019年11月25日から12月1日の日程で、ベトナム国家大学ホーチミン校・科学大学で環境科学を学ぶ大学生10名と引率教員1名の計11名を招へいし、「環境問題の改善に貢献する人材の育成」プログラムを実施しました。
ベトナムからの招へい者は、朝早くに関空に到着し、その後、ホテルに荷物を置いてから大阪府立大学に来学されました。本学白鷺門前で集合写真を撮影した後、招へい者はオリエンテーションを受けました。その後、大学内にある植物工場研究センターにて最新栽培技術の講義を受けました。植物工場内では、工場で実施されている効率的な種まきの方法、バリアフリーを考慮した作業方法、LEDを利用する効率的な栽培など、植物工場での様々な取り組みと現在の研究内容について学びました。
また招へい者は、環境共生科学課程に所属する教員から講義を受けました。黒田准教授からは、海洋環境学の分野からの講義として、水に関わる環境汚染の事例として日本の公害が紹介されました。さらに、瀬戸内海における海洋環境悪化の歴史背景や、漁場や産業の場としての特徴について講義を受けました。興津からは、環境物理化学の分野からの講義として、水中で生成される超音波キャビテーションの概要と環境浄化技術について講義を受けました。
研究室見学では、黒田研究室の事例紹介として、未活用の海産バイオマスを用いたエネルギー生産(メタン発酵システムなど)の研究紹介を実験室でしてもらいました。また、興津研究室では、各種超音波照射装置を使って、超音波キャビテーションがもたらす物理作用と化学作用に関するデモンストレーションと実験を行いました。
株式会社総合水研究所では、企業での環境に対する取り組みや、環境分析に必要な各種分析機器の学習を行い、日本の環境測定技術と環境改善技術の研修を行いました。さらに、日本での環境保全に対する取り組みを学修するために、大阪市環境局舞洲工場(ごみ処理工場)の見学を行いました。
そして日本文化と歴史の概要を学修すると共に環境と文化財の関わりについて学修するためのプログラムとして、奈良を訪問しました。また、大阪市立長居植物園と大阪市立自然史博物館の見学では、両国の植生と自然史の比較と考察を行いました。会社見学や研究室見学を通して、ベトナム学生は座学では知っている各種実験装置を実際に見ることができて、強く刺激を受けている様子が感じとれました。招へい者は何事にも好奇心旺盛で今回のプログラムに参加されていました。
本プログラムは、関係者の皆さんの協力と、特に学生達の熱心な協力により、招へい者の皆さんは非常に有意義な時間を過せたのではと思っています。さらに今回の引率教員は、本学で留学経験のあるThanh先生でしたので、特に順調にプログラムが遂行できたものと思っています。ここに感謝の意を示します。