2019年度活動レポート(一般公募コース)第397号
AI, IoT技術を用いた未来創造ワークショップ
名古屋工業大学からの報告
2020年1月7日(火)〜13日(月)までの7日間にわたり、University of Computer Studies, Mandalay, Myanmar(以下UCSM)より10名の博士後期課程学生と教授1名を、名古屋工業大学 伊藤孝行研究室・大塚孝信研究室へ招へいしました。UCSMと名古屋工業大学 情報工学専攻は現在、部局間学術交流協定の締結を目指し、積極的に交流を深めています。今回の招へいでは我々の研究紹介を行うとともに、訪問参加者に能動的に知識交流活動および文化的交流を行って頂くため、三部構成のプログラムを実施しました。
1. 研究紹介
名古屋工業大学の情報工学の研究紹介を3名の研究者より行いました。
1)エージェント技術を用いた大規模合意形成支援システム研究紹介(伊藤孝行教授)
2)Argumentation Theory研究紹介(蟻坂竜大特任助教)
3)大規模マルチエージェントシミュレーション研究紹介(Rafik Hadfi特任助教)
2. 未来創造ワークショップ
今回の活動におけるメインイベントとして、伊藤孝行研究室が研究開発を行っている、大規模オンライン議論システムD-Agreeを用いて、ミャンマーにおける社会問題の解消・未来の創造について、UCSM参加者と名古屋工業大学の研究者・学生で考えるワークショップを実施しました。ワークショップのプログラムとその成果については以下の通りです。
① 自己紹介:
ワークショップ参加者全員で、基本的な自己紹介に加え、各自の研究分野について紹介を行いました。UCSM参加者が日本の情報技術の実社会応用に非常に高い関心を持っていることが分かりました。
② 課題出し:
対面式議論にて、ミャンマーにおける社会問題を挙げ、ワークショップで取り上げる議題の選定を行いました。経済、教育、インフラ等、多方面のミャンマー特有の課題が多く挙げられました。選定の結果、次の2つのテーマを取り上げることとなりました。
課題1:「教育環境の改善のための税率の設定」
議題2:「ミャンマーの国際化の推進」
③ 意見出し:
自動ファシリテーションエージェントが議論進行を行うオンライン議論システムD-Agreeにて、参加者は各自議題に対する自由意見投稿を行いました。UCSM参加者は大変熱心に自身の意見投稿に取り組んでいました。
④ まとめと振り返り:
対面式でD-Agree上での議論のまとめを行いました。参加者一人一人から意見と感想を引き出した所、「D-Agreeでの議論によって新たな知見を多く得ることが出来た」、「システムのインターフェースに高い関心を持った」といった意見が多く寄せられました。名古屋工業大学側の参加者も、ミャンマーにおける社会問題と、それらに対する市民の声という異国における現実を学ぶことが出来ました。また、システム開発に関してもUCSM参加者より多くの助言を得ることが出来、研究活動に良い影響を受けました。
3.文化交流
休日にはUCSM参加者に日本文化を体感していただくため、名古屋城、徳川美術館へ出掛けました。名古屋城本丸御殿といった戦国時代の工芸技術と城郭、美術品などを見学するとともに日本庭園などを散策し、日本文化と歴史に触れました。また、トヨタ産業技術記念館およびリニア鉄道館を訪れ、交通に関する安全システム、大規模な製造ラインの仕組みや品質管理などの説明を熱心に聞き、日本の産業技術について学びました。
研修最終日には、ミャンマーの伝統衣装を着用したUCSM参加者より、有意義な時間を過ごせたと御礼の言葉を頂きました。本活動を通じ、UCSMと名古屋工業大学の学術交流が堅固なものとなり、共同研究の可能性も広がりました。双方の今後の研究促進につながる大変良い機会となりました。