2019年度活動レポート(一般公募コース)第392号
再生可能エネルギー高効率利用分野における若手研究者育成のための日中交流研修
横浜国立大学工学研究院からの報告
令和元年12月1日~10日、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、本学の姉妹提携校であり、中国の国家重点大学である天津大学の機械工程学院に所属する大学院生12名と副教授1名、ならびに河北工業大学の大学院生3名と教授1名、総勢17名を招へいしました。本プログラムは、日本の優れた研究の取り組みを伝えるとともに、今後の日中間の交流を促進することにより将来の日中関係の良好な発展を図ることを目的としています。
10日間の滞在期間中、天津大学の一行は本学学長の長谷部勇一教授を表敬訪問し、横浜国立大学の説明を受けました。また、本学の教員ならびに大学院生と共に、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)の省エネルギー研究部門とサイエンススクエア(茨木県つくば市)を訪問し、最先端の研究と研究施設を見学しました。加えて、玉川大学、青山学院大学、神奈川大学の関連研究分野の研究室を訪問し、研究施設を見学しました。そして、本学の最新の実験機器を利用して、リチウムイオン電池の冷却性能向上や固体高分子形燃料電池(PEFC)の性能向上に関する基礎的な実験を体験しました。
産総研では、省エネルギー研究部門が取り組んでいる蛍光燐光を用いた流れの速度と温度計測技術、固体高分子型燃料電池(PEFC)、 次世代自動車用エンジン等の最新の基礎的研究から応用研究、革新的な技術等について説明を受け、これらの研究施設を見学しました。産総研の省エネルギーに関する研究に、天津大および河北工業大学の学生は大変興味を持ったようで、多くの質問をしていました。また、産総研の研究者の方々には、学生からの質問に対して、丁寧な回答をして頂き、見学会は大変好評でした。サイエンススクエアでは産総研の全研究部門の最新の研究成果の展示を見学することが出来ました。
玉川大学、青山学院大学、ならびに神奈川では、熱流体に関わる研究室を訪問し、研究室で取り組んでいるエネルギーの有効利用に関する研究、計測技術、熱流動現象の解明等の説明を受けました。
本学では、荒木准教授により、リチウムイオン電池(LIB)等の新エネルギーの動向に関する講義と、固体高分子形燃料電池(PEFC)の性能向上方法に関する講義を受け、実験の具体的な実施方法の検討を行いました。その後、研究室の大学院生と共に、X線CT装置を使用した発電時における燃料電池内部の液水分布の可視化実験や、リチウムイオン電池の冷却性能向上にかかわる基礎研究である気泡の合体現象について、気泡間の薄液膜をレーザー干渉法とレーザー消光法により測定する実験を体験しました。
実験終了後、得られた結果をまとめ、成果報告会を実施し、その後修了式を行って、プログラムを終了しました。
今回のプログラムでは、産総研、玉川大学、青山学院大学、神奈川大学の協力を得て、日本の優れた研究の取り組みや技術を紹介することができた他、本学の実験設備を利用して、日中間の学生の交流を促進することができ、本プログラムの目的を十分達成することが出来ました。