2019年度活動レポート(一般公募コース)第379号
IoT実践体験と持続可能な開発目標(SDGs)達成への先端科学技術活用の事例学習
名古屋市立大学からの報告
2019年12月1日から7日までの10日間、タイ南部の国立プリンスオブソンクラー大学人文社会学部の学部生4名、国立プリンスオブソンクラー大学教育学部付属高等学校の高校生6名と1名の教員(引率者)の合計11名を招へいしました。
今回のプログラムでは、IoT機器の体験ワークショップ、モーションキャプチャなど最新鋭の機器の実践体験と「先端科学技術によるSDGsへの貢献」をテーマとした受け入れ大学が主催・実施するSDGs国際シンポジウムへの参加とワークショップを主軸とした活動を行いました。
IoT機器ワークショップでは、芸術工学部の学生とのグループワークで、IoTシステムの提案とその機能の一部をIoTキットで作成するハッカソンを行いました。簡単なプログラムを書くことで、人感センサーに反応してWebカメラで自動的に写真撮影ができた時は感動した様子でした。IoTで何ができるかを日本人学生と相談して作成した提案システムに関するプレゼンでは、寸劇も交えて成果を発表し、IoTに関する理解を深めると同時に楽しく活動することができました。
芸術工学部情報環境デザイン学科2年生の科目として開講されている画像情報処理演習への参加では、日本人学生2~3名と招へい者1名のグループで、C言語のプログラムによる画像のカラー変換を行う課題に挑戦しました。お互いの意思疎通が難しい時は、スマートフォンの翻訳機能を活用して会話をするなどで、課題に関してだけでなく、食生活や文化、大学生活など話題も広がりました。タイ人、日本人双方が、慣れない英会話や日本語での会話で、言いたいことを伝えられないもどかしさがあり、今後、もっと語学を学ぼう、留学しようといったモチベーションを上げるなど、とても良い刺激になりました。
SDGsの国際シンポジウムは、受け入れ大学が拠点校としての交流協定を締結している、韓国、フィリピン、トルコ、タイの大学と本学が、先端科学技術を活用して地球的規模の課題解決に取り組む事例を、講演、パネルディスカッション、ポスター発表を通して情報交換を行うもので、招へい者がこれに参加することで、SDGsについて、深く学び、考える機会となりました。ワークショップで、同世代の学生とのSDGsについてのディスカッションを行うこともできました。
タイは、日系企業も多く進出し、日本の製造業との関係も深く、生徒・学生にとってもなじみがあります。そこで、今回は日本の製造業や第4次産業革命に関する最新の情報や知識を得るために、トヨタ産業技術記念館の見学や特別講演の受講を行いました。トヨタ産業技術記念館では、普段目にする機会が少ない装置の仕組みを実際に見学して、強い興味・関心を持っていました。将来日本の企業や日系企業への就職の契機となると考えています。
日本人学生との交流は、お互いに、普段交流する機会が少ない外国人ということで、会話にはぎこちないところもありましたが、ワークショップや授業への参加が終わるころには、連絡先を交換するなどして、再び会えることを約束するなど、とても有意義な時間となりました。インターネットが発達した現代ですが、実際に顔を合わせて、お互いに普段接する機会が少ない同年代の外国人との交流は、文化や考え方の違いについて体験できる良い機会になったと思います。今回のこのプログラムに関わった生徒・学生にとって、本プログラムを通じて経験したことや学んだことが、今後の留学やキャリア形成の一助となるだけでなく、多文化共生を理解する機会となることを期待します。
最後に、今回のプログラムにご協力いただいた各機関をはじめ、受入れにご支援をいただいた「さくらサイエンスプログラム」の関係者の皆様に感謝申し上げます。