2019年度活動レポート(一般公募コース)第374号
環境問題解決のための異分野融合によるナノバイオセンサに関する
マレーシアプトラ大学とマレーシア科学大学との共同研究活動
九州工業大学大学院生命体工学研究科
池野 慎也さんからの報告
令和元年11月24日から12月14日までの3週間、交流協定校であるマレーシアプトラ大学から大学院生2名と引率教員1名、同じくマレーシア科学大学から大学院生2名と引率教員1名、合計6名を招へいして国際共同研究活動を実施しました。環境問題を解決するためには、考え方の「多様性」が新たなアイデアを生み出す引き金になると捉え、本プロジェクトでは、それらに関わる二つの研究分野(バイオテクノロジーとナノテクノロジー)の方を招へいし、共同研究活動に取り組みました。
11月24日に来日し、翌日からは日本での生活や研究活動における注意点に関するオリエンテーションを実施し、キックオフプレゼンテーションおよび滞在中の共同研究内容について打ち合わせを行いました。
3日目は、当研究科のいくつかの研究室を訪問し、材料・生体に関連した研究分野を通じて社会的諸問題の解決をめざした研究活動を見学し、午後からは各グループに分れ、共同研究活動を開始しました。
5日目は、世界でも有数のバイオ研究の拠点である東京工業大学大学院生命理工学院と科学技術創成研究院細胞制御工学研究センターを訪問・見学し、ノーベル生理学・医学賞の受賞者である大隅良典栄誉教授と歓談する機会を頂きました。この訪問で、世界をリードする日本の科学技術の理解と関心を深めて頂けたと思います。
翌週から、バイオセンサ素子の合成技術の取得を目的とした機能性ペプチドの合成、機能性ペプチドの微生物を用いた発現精製技術の取得、網羅的解析技術の取得を目的とした微生物の転写物の解析、センサ素子に最適なペプチドの生体内合成の4つのテーマに分かれて、本学の大学院生と一緒に共同研究を実施しました。
共同研究の最終日には、各グループの成果と今後の展望についてのプレゼンテーションを行ない、大学院生および教員も含めてディスカッションを実施しました。このディスカッションでは新たな目的や展望が挙げられるなど、とても充実した共同研究活動であったと思います。3週間という短い期間での共同研究では、予定通り進まなかったグループもあり、あと1週間こちらにいて研究を続けたいと伝える方もいました。しかし、当初の目的である、「他分野・異国間との研究交流を通じて環境問題解決のための分野を超えた新しい融合研究を形成する」ことはクリアできたのではと思います。また、研究室の日本人大学院生にとっては、研究の取り組み方や考え方の相違を身近に感じることでグローバルな感性を身につけていただけたと思います。このプログラムで招へいした院生・教員からは、多くの感謝の言葉を頂きました。
最後に、このような機会を与えていただいた「さくらサイエンスプログラム」、東工大訪問でご対応頂きました先生方、そしてご協力いただきました本学の教員・学生・事務の皆様に心からお礼を申し上げます。