2019年度活動レポート(一般公募コース)第363号
アジア高齢者社会における口腔内細菌叢ゲノム解析と循環器疾患予防プログラム
大阪医科大学からの報告
大阪医科大学では、国立台湾大学歯学研究科より教員1名と大学院生5名を招へいし、2019年12月1日(日)~12月7日(土)の日程で「アジア高齢者社会における口腔内細菌叢ゲノム解析と循環器疾患予防プログラム」を実施しました。本プログラムは大阪医科大学が私立ブランディング事業等ですでに実績をあげている「口腔内細菌叢」を用いたゲノム解析を基盤としたものです。アジア諸国の共通課題である循環器疾患の予防と治療を担う、医歯学連携次世代医療人を育成する礎とすることを目的としました。
初日
本学口腔外科学教室が共同研究を行っている大阪大学微生物病研究所の遺伝情報実験センターを訪問し、ゲノム解析の基礎研究や大阪大学が設立したゲノム解析の会社の視察を行いました。
2日目
参加者たちは学内でゲノム研究を行っている微生物学教室を訪問しました。参加者が歯学研究科の大学院生ということで、ゲノム解析の基礎についての講義や細菌観察を行い、学びを深めました。また、この日のウェルカムパーティでは、本学学長、中山国際医学医療交流センター長参加のもと、すでに交流を深めている医学部生との交流だけではなく、専門分野や他分野連携強化を確認しました。
3日目
産官学(サンスター、高槻市、本学)連携による研究「健康寿命をのばすたかつきモデル」の説明と「口腔内細菌叢」と健康寿命との関連についての講義を受け、医歯学連携について協議をしました。参加者は歯科臨床と研究の両方に携わる者が多く、研究と臨床の連携についても多くの質問をしていました。
4日目
上記「たかつきモデル」の連携先である地元企業サンスターを訪問しました。口腔ケア製品の工場見学、がん治療に関する研究についての講演を聞き、口腔ケアの重要性について総合的な理解を深めました。午後は、本学内科学と口腔外科が共同で国際学会発表を行った「口腔内細菌叢ゲノム解析と循環器疾患予防」について講義を受けました。参加者より、参加者の母国での共同研究の可能性について、研究デザインの段階から具体的な質問が多くなされました。
最終日
プログラムの振り返りと修了式を行い、参加者からは医歯学連携を含めた共同研究の希望の声が上がりました。
本プログラムでは歯学研究科大学院生を対象とし、口腔ケアをアジア諸国共通の喫緊の課題である「循環器疾患の予防」の一つの核として位置づけ、本学が行う「口腔内細菌叢と循環器疾患との関連」の最新の研究を学内外の教員が紹介しました。参加者たちからは「短いプログラムでしたが、非常に勉強になりました。共同研究や大学院生の交流を深めたい」という声をもらいました。
今回のプログラム実施により、アジア高齢化社会の問題の共通理解を行い、アジアの次世代を担う医療者育成のプログラム立ち上げの礎をつくることができました。このような機会をいただいたさくらサイエンスプログラムに深く御礼申し上げます。