2019年度活動レポート(一般公募コース)第358号
アジアの大学との頭脳循環ネットワーク構築のための研究交流プログラム
九州大学からの報告
2020年1月11日~7日間の日程で、台湾国立科技大学、インドネシアのムハンマド大学ジョグジャカルタ校及びアンダラス大学、マレーシアのマレーシア工科大学、という3カ国4大学から若手教員7名、大学院生3名、大学生2名、計12名を九州大学の総合理工学府にお招きしました。
来学初日にまずはオリエンテーションを実施し九大総理工学府の紹介を行うとともに、参加者全員の自己紹介や大学紹介を行いました。その後は、参加者は専門分野に応じて主に7グループに分かれ、本学府で専門分野を同じくする教員がホスト役となり、研究室での学生も交えてのセミナーや実験演習の体験、共同研究を目指した打ち合わせなどを個々に行いました。
台湾国立科技大学から訪問した3人の若手教員は2020年4月から本学府との間で開始する修士課程のダブルデグリーに向けて、本学府と台湾科技大の間での教員同士の共同研究構築のためのマッチングのための情報収集を滞在中の大きな目標としていました。そこで、本学府の国際化担当教員らとの面談や関連専攻の複数研究室への訪問を行い、学府全体の教育研究の動向について情報交換をしました。
一方、マハンマド大学ジョグジャカルタ校の3人は本学府波多教授の研究室を訪問し、持参したサンプルを電子顕微鏡にて観察するなど、様々な実験を体験するとともに、研究セミナーに参加しました。
アンダラス大学からの3人の訪問者は熱電材料という同じ研究分野のグリーンテクノロジー研究教育センター・センター長兼本学府大瀧教授の研究室を訪問し、持参したサンプルを使って様々な実験装置による計測・解析を体験しました。
マレーシア工科大学のShahira博士は、これまで人工関節表面へ薄膜を修飾して、耐摩耗性を向上させることを主な研究テーマとされてきました。そこで、本学府のホストとなった中川准教授は「修飾」、「保護膜」という共通点を足がかりにホウ素薄膜の強靭な構造およびその耐酸化特性について滞在中に研究を開始しました。今後の本格的な共同研究へと発展する事が期待されます。
マレーシア工科大学のSukri博士は、航空工学を専門とする本学府の安養寺研究室を訪問しました。これまでコンピューターによる数値計算を主に行ってきたSukri先生は、安養寺先生が実施中の様々な流体計測の様子を見学する事ができました。
滞在期間の後半は、九大筑紫キャンパスのツアーにより大規模な実験装置を見学しました。最後に、Closingセミナーを開催し、滞在期間中の各自の研究内容や体験についてのプレゼンテーションを行いました。
今回の事業を通じ海外の4大学との研究交流を深める事ができました。参加した皆さんだけでなく本学府の教員や学生にとっても、大変貴重な体験となりました。今後は、ここで出来た繋がりを更に共同研究や定常的な学生の留学などに拡大発展させていきたいと思います。