2019年度活動レポート(一般公募コース)第356号
東アジア地域の若者を国際的に活躍する高度技術者に育成
富山大学学術研究部都市デザイン学系からの報告
令和2年1月27日(月)から2月5日(水)、富山大学学術研究部都市デザイン学系(材料機能工学専攻)では、チェンマイ大学(タイ)、ハノイ工科大学(ベトナム)の2ヶ国の大学から材料系大学院に在籍する学生12名(各大学5名)と引率教員2名(各大学1名)を受け入れ、さくらサイエンスプログラムによる交流を実施しました。
本事業では、自動車等の生産と保有が著しく見込まれる東アジア地域の次世代を担う大学院学生に対して、本学が地域企業と連携して培ってきた「持続可能な社会構築のための基盤材料(特にアルミニウム)の科学と技術」を学ぶ機会を提供し、我が国の若者とともに地球規模で新技術を共創できる人材の育成を目的としました。そのため、すべてのプログラム実施内容(講義・演習・実習)は、すべて英語で実施されました。特に、アルミニウム合金に関連し、合金作製方法(鋳造)、組織制御でのアルミニウム合金特性向上(熱処理、微細組織観察)、物理・化学的な特性、密度汎関数理論(DFT density functional theory)を用いた材料工学の基礎を学習しました。
産学連携で培った富山地域産業の優れたアルミ産業技術を学習するために、地域企業2社を見学しました。プログラムの最後には、本専攻の大学院生とグループワーク「もの作り競技会、アルミホイルを用いて、強い構造を作る」と研究発表会を行い、参加学生の本学への留学の関心を高めるとともに、本学の日本人学生にも、貴重な国際交流の機会を提供しました。
1日目
午前に到着したチェンマイ大学の参加者は、本大学を訪問して、国際交流担当事務員からさくらサイエンスに関する説明を受けました。ハノイ工科大学の参加者は、夜の到着となったため、宿泊のホテルへ移動のみとなりました。
2日目
宿泊したホテルから富山大学都市デザイン学部までは、路面電車と徒歩で約30分の道のりを移動し、初めにオリエンテーション・事務手続き、次に軽金属の製錬・リサイクルに関する講義・演習を行いました。午後には、学長訪問を行い、続いて軽金属の腐食・防食に関する講義・演習を行いました。夜には、材料機能工学専攻の教職員、本学の国際交流担当理事および国際部職員とプログラム参加者で歓迎会を行いました。
3日目
午前中に軽金属の製造・鋳造に関する講義・演習を行い、午後に製造・鋳造の研究室訪問と鋳造の実習見学を行いました。
4日目-5日目
地域のアルミニウム製造企業の見学として三協立山株式会社とYKKAP株式会社を訪問見学しました。プログラム参加者には、軽金属の鋳造を研究している大学院生がおり、企業技術者と専門的な議論が活発に行われました。
6日目
北陸の歴史と文化を学ぶ目的で、富山県南砺市と石川県金沢市の兼六園・金沢城を見学しました。日本の伝統文化と高度文明の調和に高い関心をもっているように伺えました。
7日目-8日目
電子顕微鏡を利用したアルミニウム合金の熱処理・組織観察に関する講義・演習およびグループによるアクティブラーニングを行い、学習成果の発表を行いました。
9日目
プログラム参加学生と本学の材料機能工学専攻学生の混成5チームによる「アルミニウムを利用した工作実習コンテスト」を実施しました。テーマは、“アルミホイルを用いて、強い構造を作る”でした。コンテストの後に、プログラム参加学生と本専攻学生による討論会と修了証授与式、そして送別会を行いました。
この交流を通して、3ヶ国の大学の大学院生の交流が活発に行われました。アンケート結果は、全員が今回の日本訪問について” Very satisfied”と回答しました。