2019年度活動レポート(一般公募コース)第348号
国際共同研究の発展に向けたタイ・モンクット王工科大学との共同研究
埼玉大学大学院理工学研究科・戦略的研究部門からの報告
埼玉大学大学院理工学研究科と協定を結んでいるタイ・モンクット王工科大学(KMUTT)の大学院生4名および引率の研究員1名が、2019年10月6日から10月20日の2週間にわたり、埼玉大学にて、タンパク質生化学実験を中心とした共同研究プログラムを実施し、大学院生や研究者同士での交流を深めました。
本プログラムでは、KMUTTからの来訪者5名と、埼玉大学大学院理工学研究科・分子生物学コース・タンパク質科学研究室の大学院生5名とで、試験管内タンパク質合成系を応用したキャッサバ(タピオカの原料で有名な作物)の膜輸送体タンパク質の合成と機能の解析を行いました。1週間目の週末(10月12日)に台風19号の襲来という想定外の出来事もあり、その余波で実験試薬が届かないなどのアクシデントも重なり、残念ながら予定していたプログラムの計画の完全遂行には至りませんでした(その後の追加実験で、共同研究の目的自体は果たすことはできました)。
タイの学生4名はいずれもキャッサバなどのタイの主要作物の育種およびラン藻を利用するバイオテクノロジーに関連するバイオインフォマティクス分野を専攻しています。彼らの作成している代謝モデルを、実際のタンパク質機能と照らし合わせてより正確なものとしてパラメーター構築する必要性があります。ニーズが明確なため、不慣れな生化学実験(いわゆるウエットな実験)にも果敢に挑戦し、新鮮で刺激的な体験だったと感想を述べています。KMUTTの共同研究グループは、海外との交流機会が多いこともあり、英語でのコミュニケーションでは埼玉大学の学生をはじめのうちはリードする雰囲気で進み、滞在期間が長くなるにつれて交流も深まり、コミュニケーションが円滑に進む様子がみてとれました。
実験終了後には、ラップアップミーティングを開き、タイの学生および研究員の5名と、実験に参加した埼玉大学の大学生5名によるプレゼンテーションおよび活発な質疑応答が行われ、その後に、修了式を行い、各参加者に修了証が授与されました。
滞在中には、日本科学未来館および国立科学博物館をそれぞれ訪問し、同行した埼玉大学の大学院生と共に非常に興味深く見学をしていました。また、実験時間外には、大学院生同士で埼玉県の川越市小江戸や、上野のアメ横などの観光地にも繰り出し、それぞれの独特な文化に触れて食文化も大いに楽しんでいました。