2019年度 活動レポート 第337号:九州大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第337号

無医村地域や災害地域における感染症・生活習慣病予防システム構築に向けた
遠隔予防医療サービスの共同研究

九州大学からの報告

九州大学病院メディカルインフォメーションセンターおよび同大学持続可能な社会のための決断科学センターでは、2019年10月29日から約10日間、貴州省疾病予防コントロールセンターより刘涛先生他4名、貴州人民医院より蒋玲先生の全6名を迎えて共同研究を実施しました。今回の招へい対象者は、結核やエイズなど感染症の研究者、麻酔科医などの医師、データ分析およびヘルスマネジメントの専門家から成り立っており、それぞれの専門分野・領域での知識や経験を活かし、疾病の予防管理に従事していらっしゃいます。

共同研究では、中国農村部における医療資源不足の課題や、急増している肥満や高血圧など生活習慣病の対策について議論を行いました。遠隔医療予防医療サービスの課題やデータマネジメントについても情報交換を行うことができました。

(1)セミナー

大学病院における情報管理部門の概要や、日本での地域や職域での健康診断を通じての予防医療活動、通常提供される医療サービス、日本や途上国における母子保健活動などについてセミナーを行いました。

(2)発表とディスカッション

貴州省疾病予防コントロールセンターでの疾病予防管理の概要、データ解析と管理について発表していただき、ディスカッションを行いました。

(3)九州大学病院内見学

手術部にて手術室内や手術器具の自動運搬システム等の見学を実施しました。がんの手術療法方針に対する日中間の違いに大変関心を持たれていました。

手術室を見学している様子

(4)IPAC(国際診療支援センター) / TEMDEC(アジア遠隔医療開発センター)

IPAC(国際診療支援センター)では中国を中心とした外国人患者受け入れの現状や課題について、TEMDEC(アジア遠隔医療開発センター)では遠隔医療について説明を受け、質疑応答がありました。

九州大学病院IPACでのセミナー

(5)久山町住民健康管理の現場見学

福岡市郊外の久山町住民健康管理の現場を見学しました。久山町では50年以上も続くコホート集団があり、様々な工夫で住民と町と大学が協力し合って健康モニタリングを続けています。現場の先生方のご協力で住民健康管理の情報の蓄積と日本の慢性疾患理解への活用の成果について説明を受け、活発な議論が行われました。

九州大学の二宮利治先生から久山町研究の歴史について説明を受ける皆さん

(6)内科クリニックの現場見学

福岡市内の内科クリニック医師が患者さんを診察する様子を見学しました。地域に最も近い医療施設において、患者さんが医師からどのような医療サービスを受けるかを観察する機会となりました。

(7)健康づくりサポートセンター(あいれふ)訪問

福岡市中央区にある福岡市の健康づくりサポートセンター(あいれふ)を訪問しました。センター長やスタッフの皆さんから、同センターが地域住民に提供している健康支援の取組についての紹介を受け、また実際に体験もしました。なかでも栄養教育体験では、食品サンプルを利用した教育方法に関心が高い様子でした。

福岡市健康づくりサポートセンター(あいれふ)における栄養教育体験を終えて

今後の共同研究検討会では疾病管理の方法やデータマネジメントについて情報交換を行い、双方にとって有意義な期間となりました。また、学内外の研究者や留学生の協力が得られ、人的交流と結束が高まったことも大きな成果でした。

プログラム修了後の皆さん