2019年度活動レポート(一般公募コース)第330号
プラスチック廃棄物対処および資源循環政策についての共同研究短期セミナー
名古屋大学 アジア共創教育研究機構からの報告
1. はじめに
名古屋大学アジア共創教育研究機構では、2019年10月16日から10月20日の5日間、「さくらサイエンスプログラム」の支援を得て、中国の成都理工大学(四川省成都)と中南財経政法大学(湖北省武漢)から廃棄物処理に関わる若手研究者を招へいしました。研修課題は「プラスチック廃棄物対処と資源循環政策についての共同研究短期セミナー」です。当初の来日予定日が運悪く台風の襲来と重なり、日程の短縮を余儀なくされましたが、日本の専門家による講義や廃棄物処理工場の見学なども行うことができました。
2.有明興業株式会社の工場見学
廃棄物の中間処理施設から最終処理施設までの処理工程を見学しました。リサイクル工場(REF化固形燃料)のプロセスを学び、日中の廃棄物リサイクルの政策やシステムを比較し、将来のリサイクルポテンシャルについて意見交換をしました。
今回の工場見学では、営業担当の鈴木氏に対応していただきました。参加者に対していろいろな資料を用意して下さり、リサイクルの様々な処理過程を紹介していただきました。参加者一同、日本企業のリサイクル技術の高さとともに、企業のリサイクルに対する情熱に感銘を受けました。参加者のために使い捨てマスクと紙の帽子を用意していただきました。日本では当然のことなのかもしれませんが、こうしたことも中国からの参加者にとっては驚きでした。有明興業には多くの見学者がいるそうですが、中国からの学生の訪問は今回が初めてとのことでした。鈴木氏から、「中国の学生は学習熱心だ」とおほめの言葉をいただきました。
3. 再生可能エネルギーセミナー
外部講師として、東京大学未来ビジョン研究センター特任研究員の王嘉陽氏を招へいし、日本のバイオマス等を利用した再生可能エネルギー利用の現状と課題についてのセミナーを開催しました。日中のエネルギー利用の構成を比較し、風力発電と太陽光発電の利用可能性について意見交換をしました。
4. サービサイジング講義
名古屋大学にて、名古屋大学アジア共創教育研究機構の藤川教授を講師として、サービサイジングに関するセミナーを開催しました。サービサイジングとは、モノを販売せずモノの機能のみ販売するビジネスモデルです。モノの所有権が販売者から消費者に移転しないので、廃棄物削減の1つの手法として注目されています。中国で人気のシェアリングエコノミーもサービサイジングの一種と解釈されます。今後のこの種のビジネスモデルの発展について意見交換をしました。
5. 名古屋科学技術館見学
名古屋科学技術館のプラネタリウムを体験しました。プラネタリウムは初めてという参加者も多く、感動していました。
6. 成果報告セミナーでの発表
中国からの参加者が名古屋大学のアジア共創教育研究機構で、2日間の内容を整理し、成果報告セミナーで発表しました。
参加学生たちは、今回の研修で、日本では廃棄物の分別・輸送・リサイクルおよび処理が効率的に行われており、再利用できる資源が無駄にされないことがよく理解できたと異口同音に話していました。
また、研修内容とは直接関係ありませんが、参加者たちは、日本人は外国人に友好的であり、街は清潔に保たれていることに感心していました。日本に実際に来なければ日本がこのような国であるとは想像できなかったと話していました。台風のために研修期間が短くなってしまいましたが、日本人の(社会環境と自然環境を含めて)環境全般に対する配慮が感じられたようです。
また、名大と成都理工大学・中南財経政法大学の共同研究プロジェクトとして、「中国の使用済み乗用車の発生量の推計とその再資源化に関する研究会」を立ち上げました。