2019年度活動レポート(一般公募コース)第326号
マレーシア・サバ州の学生10名と同位体分析・宇宙技術を活用した生物多様性保全を学ぶ
北海道札幌啓成高等学校からの報告
マレーシア・サバ大学の大学生5名、マレーシア・オールセインツ中等学校の高校生5名、引率教員1名を招へいし、7日間(2019年11月4日~11月10日)のプログラムを行いました。
大学での研修(1・2日目)
酪農学園大学では、金子正美教授をはじめとする多くのスタッフのご指導により、研究室を訪問しながら北海道の森林生態系の特徴と生物多様性に関する問題を学びました。多数のサバ大学に関係するスタッフがご指導してくださる関係で、双方共に、どこの大学で研修を受けているのかわからないような雰囲気で研修を受けさせてもらっていました。
北海道大学では、午前は、地球環境科学研究院の根岸淳二郎准教授のご指導により、本校生徒、酪農学園大学の学生及びマレーシアの学生が交流を楽しみながら、同位体分析を活用してどのように持続可能な水資源を確保するかについて学びました。午後は、Ram Avtar助教のご指導により、葉のスペクトルデータを取得する実習及びドローンや衛星を利用して取得したスペクトルデータを森林生態系のモニタリングに活用する手法を学びました。
本校での研修(3・4日目)
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)としての科学交流では、理数科1年生が英語プレゼンテーション発表に挑戦し、日本のものづくり技術や北海道の自然を伝えました。オールセインツの高校生は、学校で行っている環境保全活動の取組を発表しました。1学年全ての英語の授業では、日本あるいは地域の自然や文化を様々な形で紹介し、英語をツールとして文化交流を行いました。今年度は、この英語の授業で使用した全てのポスターを校内に展示、投票し、優秀ポスターを表彰するなど、さくらサイエンスプログラムを本校の教育活動により効果的に活用させてもらいました。その他、音楽、書道での交流や放課後の有志の交流を行い、充実した2日間となりました。
国際森林キャンプ(5・6日)
酪農学園大学の合宿所をお借りして実施する、この交流の一大イベント。午前中は、本校生徒、マレーシアの学生及び酪農学園大学の学生の混成グループで館内を見学し、その後、学びを共有するワークショップを行いました。午後は、野幌森林公園で、北海道の冷温帯汎針広混交林について、葉の同定を中心に体験的に学びました。保全生物学を専門とするサバ大学生は、冬季に落葉する落葉樹を特に興味深げに観察していました。研修終了後からは、合宿所で、日本のカレーやお菓子を交換しながら深夜まで交流を深めました。
最後に
酪農学園大学に短期留学生として再来日した昨年度に招へいしたサバ大学生と共に、夏にマイクロプラスチックの海岸調査を行いました。また年明けの1月には、本校生徒8名がサバ大学及びオールセインツ中等学校で再び交流を行いました。さくらサイエンスプログラムを活用して、このような双方向交流の機会をいただいているおかげで、現在、本校生徒1名がサバ大学に留学しており、今年度、新たに1名が合格をしています。今後もSSH校として、グローバルに活躍する科学技術系人材の育成に、さくらサイエンスプログラムを利用させてもらいと考えています。
最後に、このような機会をいただきました「さくらサイエンスプログラム」に心より感謝を申し上げます。また、この研修が招へい者の心にとても残る暖かい研修となっているのは、受入に協力してくださるホストファミリーと大学生の方々の親切があってのものと思っております。改めて感謝申し上げます。