2019年度 活動レポート 第325号:宮城県立古川黎明中学校・高等学校

2019年度活動レポート(一般公募コース)第325号

タイ王国の高校生のための日本の科学技術と農業に関する体験研修

宮城県古川黎明高等学校からの報告

令和2年1月31日から2月5日まで、タイ王国のプリンセス・チュラポーン・サイエンス・ハイスクール・サトゥン校(PCSHSサトゥン校)より生徒4名と教員3名(2名は自己負担)を招へいして交流を行いました。PCSHSサトゥン校は、タイ王国南部のサトゥン県にある中高一貫教育校で、本校とは平成24年度から交流提携を結んでこれまでも交流を図ってきました。

今回は、「タイ王国の高校生のための日本の科学技術と農業に関する体験研修」というテーマのもと、宮城県の大学や企業、地域自治体の協力をいただき、科学技術、災害科学、農業や産業について研修を行うとともに、高校生との科学的な交流の場も設定して行いました。

1日目

昨年10月から再度定期便が就航された仙台空港に到着し、その後学校で歓迎セレモニーを行いました。セレモニーでは、今年が提携の更新時期でもあるため、さらに4年間の交流提携の更新を行いました。午後には、トヨタ自動車東日本株式会社本社・大衡工場を訪問し、最新技術による自動車製造に関する講義や、実際に工場内に入り、ロボットによる組み立てや塗装の様子を見学しました。夕方には学校に戻り、ホストファミリーとの対面式のあと、ホームステイ先の家に向かいました。

ナイトフライトで仙台空港に到着。これから始まる研修にわくわく

2日目

午前中は、東北大学災害科学国際研究所を訪れ、タイ王国出身でTSUNAMIの研究をしているサッパシー・アナワット准教授による講義を英語で受けました。自然災害のメカニズムやその対処法や課題、現在の研究の方向など、海洋に面している国ということもあり、質疑も活発に行われるなど、生徒が関心をもった研修となりました。午後には、岩沼市の千年希望の丘を訪問し、語り部の佐藤俊見さんから震災前様子や震災当時のこと、震災後の復興について周辺を歩きながら解説していただきました。

千年の希望の丘周辺を周りながら,語り部の話に耳を傾ける。

3日目

大崎耕土フィールドワークをテーマに大崎市役所観光交流課、世界農業遺産推進課スタッフの案内で、1日かけて研修を行いました。午前中は鳴子温泉郷を地元ガイドの案内で町歩き。足湯や温泉神社に立ち寄り、鳴子温泉地域の文化や歴史について学びました。その後はこけしの絵付け体験をして、自分のオリジナルこけしを作成しました。続いて旅館弁天閣で昼食をとり、午後は有備館を見学、それから古川沢田地区の居久根(佐野様邸)を訪問し、薪割り体験などをしながら交流を深め、大崎地方の伝統的な生活を味わうことができました。

地域の名産,こけしの絵付け体験。初めての体験に夢中。

4日目

終日、校内での研修でした。引率のTHANITHA先生による化学の授業を行い、本校の生徒とグループワークでコミュニケーションをとりながら有機化学について学びました。数学やSS社会と情報でもグループ活動をとおして科学的コミュニケーションを図ることができました。また、12月にタイに訪問した生徒とともに、タイでも行った植生調査の研究を本校でも行いました。

タイの先生の化学授業。グループワークで日タイの生徒が科学交流。

5日目

科学英語の授業を受けた後、本校の「黎明サイエンスフェスティバル」に参加し、研究テーマについて口頭発表とポスターセッションを行いました。本校の生徒や参加した県内の高校生と交流を図りました。

研究の英語による口頭発表。堂々とした発表を行う。

最終日

前日に東京に移動し、終日東京で研修を行いました。日本科学未来館では最先端の科学技術や、人間生活との関連について学び、科学と人間の未来について考える契機となりました。また、浅草や上野を訪れ、日本の文化を肌で感じる機会もつくることができました。

一昨年、昨年に引き続き、さくらサイエンスプログラムを活用させていただき、交流プログラムをより充実させることができました。JSTの皆様をはじめ、このプログラムにご協力いただきました大学、企業、自治体、ホストファミリー、関係の皆様に深く感謝し、御礼を申し上げます。