2019年度活動レポート(一般公募コース)第324号
イノベーション創出人材の育成と共同研究スタートアップを目指した国際交流
工学院大学からの報告
工学院大学では、2019年11月24日より11月30日までの1週間、マレーシア国民大学より、大学生2名、大学院生4名と1名の引率教員が来日し、異分野の研究に取り組む異文化の学生同士の交流を通したイノベーション創出過程の体験を目的とした、国際交流プログラムを実施しました。
社会をリードする人材を育成するためには、異分野の研究者、異文化で教育を受けた学生との交流を通して、イノベーションにつながる新しい視点や考え方を獲得する機会を学生や教員に提供することが重要です。
本学の実施担当者須賀准教授と招へい先のマレーシア国民大学のAriffin教授は、革新的な研究課題を実施するために長年、研究交流を行っており、それらを通して、学生間の交流が国際的な人材育成に非常に有益な手段であることを相互に確認してきました。
そこで本プログラムでは、マレーシア国民大学の学生と本学の学生との交流を通してさらなる研究交流を進めていくことを目標にしました。
主な実施内容は以下のとおりです。
①講義:イノベーションを加速する手法の習得とその教育方法の獲得
イノベーションに関する知識と技術を学生および教員が獲得することを目的として、Ariffin教授に講義をしていただきました。
*) Ariffin教授は、数々の革新的な教育方法の確立に努め、2017年にはAppleが選ぶ世界の教育者の一人(Apple Distinguished Educator)に選出されています。また、2019年にはインドネシアで開催されたWorld Class Professor会議において教育と学習のイノベーションについて講義を行うなどイノベーションを加速させる教育者として世界中から高い評価を受けています。
②講義:機械工学に対する医療分野からのニーズと課題の把握
須賀准教授の講義を通して、機械工学分野に対する医療分野からのニーズと課題を把握しました。
*) 須賀准教授は、医師と共同で医療ビッグデータの有効活用方法の開発やシミュレーションによる治療支援に関する研究を進めています
③ワークショップ:医療分野のシミュレーションの確立
安全かつ効果的な治療計画を立案するため、力学に基づくシミュレーションの重要性が指摘されています。しかし、医療分野のシミュレーションは形状や材料特性が正確に定まらないなど、不確定性が高いことが多くあります。そこで、マレーシアおよび日本の学生の混合グループで、不確定性が高い条件で、シミュレーションを有効に利用する方法を提案するワークショップを実施しました。このワークショップにより、講義①と講義②で獲得した知識や技術を実践することでき、理解度や技術習得度合いを向上させることができました。
将来研究者や技術者を目指す学生たちにとって、グローバルなネットワークを構築することは、世界で活躍する礎を築くことに繋がります。サポートする日本人学生が日を追うごとに積極的になっていったことは、大きな収穫であったと思います。
今回の交流を通じて、マレーシア国民大学との連携強化に向けての一歩を踏み出すことができました。今後はさらに発展させて、大学間交流、共同研究といったより広い分野での交流が始まることが期待できそうです。
このような機会を与えてくださいました「さくらサイエンスプログラム」に感謝を申し上げますとともに、引き続き、ますますの交流の活発化にご支援くださいますようお願い申し上げます。