2019年度 活動レポート 第319号:九州工業大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第319号

LNBTIとのIoT技術の協働ハンズオンワークショップと交流活動

九州工業大学からの報告

2019年12月10日から12月15日に、九州工業大学は「さくらサイエンスプログラム」の支援をうけ、スリランカの日本情報科学短期大学(Lanka Nippon BizTech Institute (PRIVATE) LIMITED、以下LNBTI)から、学生8人と教職員1名を受け入れました。

LNBTIは、日本語教育に力を入れており、1~3年生の各学年で、日本語科目が必修科目として設定されています。技術だけでなく、日本の文化や慣習にも触れることで、卒業後に日本への留学(編入)、日本企業への就職を積極的に推進しています。

また、METATECHNO LANKA COMPANY (PRIVATE) LIMITED(日本企業の株式会社メタテクノの現地法人)がインターンシップ学生の受け入れに積極的で深いつながりを持っています。LNBTIは日本企業とのつながりの深い学校であることから、学生は日本へ強い関心を持っています。

プログラムの前半は、株式会社メタテクノ(川崎市)の協力により、日本のソフトウェア産業に関する説明と会社見学を行いました。

メタテクノ社 会社見学

その後、福岡への移動の前に、日本科学未来館の見学も行いました。日本科学未来館では、ロボットに関する展示に興味を持って見学をしていました。

プログラム後半は、九州工業大学において、田中和明准教授によるIoTワークショップを実施しました。九州工業大学が開発したIoTプログラミング教材を利用し、IoTプログラミングに要求されるソフトウェアとハードウェアの両方の技術を体験できる内容の演習を行いました。

ソフトウェアでハードウェアをどのように制御するかという内容を自分で考える演習で、LNBTIで学習していない電子回路やセンサを使った演習を楽しんでいる様子がみられました。九州工業大学の大学院生にTAを担当してもらい、自由な発想で自分自身が考えた作品を組み立てていく体験を行いました。演習を進めていくには、ある程度の試行錯誤が不可欠で、TAとともに作品を完成させていく様子を見ることができました。

IoT演習
製作中の作品

演習後に、自分で作成した作品の説明をプレゼンテーションする発表会を行いました。発表では、作品の動作を、どのような回路を作成し、どのようなプログラムを記述して完成させたかについて、一人一人説明してもらいました。発表会には、九州工業大学の学生も参加し、発表後に作品に関する意見を交わしたりして、交流を深めていました。

作品発表会

最終日は、大学近くにある旧伊藤伝右衛門邸の史跡見学をしました。筑豊の炭鉱王と呼ばれた伊藤伝右衛門と歌人柳原白蓮が過ごした邸宅で、明治時代の建物を見学しました。また、ユネスコ記憶遺産に登録されている山本作兵衛 炭坑記録画の展示も行われており、当時の石炭産業の近代化の歴史を見ることができました。

旧伊藤伝右衛門邸

今回のプログラムを通じて、日本の文化と技術を体験できました。施設の見学だけでは得られない体験を、LNBTIとも関係のある企業による業界の説明、大学での電子回路を使った演習などを通じて、より深い内容にまで触れることができたと考えます。

すでに、日本の大学への編入を予定している学生もいて、日本への留学・就職への希望が高まったと思っています。今回のプログラムを機に、LNBTIの学生が日本との交流の懸け橋になってくれることを期待しています。