2019年度 活動レポート 第316号:札幌日本大学高等学校

2019年度活動レポート(一般公募コース)第316号

北海道から発信する循環型社会の創造

札幌日本大学高等学校からの報告

2020年1月19日から1月25日、韓国・仁川科学芸術英才高等学校から高校生10名、引率教員1名を招へいし、科学技術交流プログラムを実施しました。

 

1月19日(日)

仁川科学芸術英才高等学校の生徒10名を新千歳空港で歓迎した後、麻生にある下水道科学館を見学しました。

今回の交流のテーマである、「北海道から発信する循環型社会の創造」に関して、重要な資源である水とその循環を学ぶため、札幌の下水処理の概要について説明を受けた後、実際に処理場内を見学しました。汚泥処理によって実際に水のにおいや色が代わっていくことを確かめてもらいました。韓国の生徒の皆さんもこのような施設を訪れたことはないようで、興味深く施設を見学していました。

 

1月20日(月)

午前中は旭川にある、北海道立総合研究機構「林産試験場」を訪問しました。道産材は価格の高い建築材にあまり使われていないために、乾燥や貼り合わせを工夫して木材の「くるい」や「割れ」を防ぎ、強度を高めていました。また、「おがくず」についての基本的知識も学ぶことができました。

午後は「正和電工株式会社」を訪問し、実物のバイオトイレを見て、仕組みや開発についての説明を受けました。バイオトイレの応用で駆除した鹿を分解する装置が新たに開発されていました。トイレの問題は、つい目をそらして他人任せにしてしまう傾向がありますが、水だけでなく衛生問題にも深く関わっていて、大きな課題であることを訪れた生徒は再認識したようです。

1月21日(火)

本校にて歓迎セレモニーを行い、その後はお互いの学校で研究している課題を英語で発表しました。仁川科学芸術英才高等学校の研究内容はレベルが高く、本校の生徒にとって、刺激を受ける貴重な経験となりました。

また、午後には本校のSSH活動にも参加してもらいました。2年生が今行っている研究について、各班が英語を使って説明しました。説明した生徒は、伝わった喜びと、うまく伝わらなかった悔しさを感じていました。

 

1月22日(水)

午前中は北海道大学で「光化学反応」等のエネルギー分野で最先端の研究を進めている電子科学研究所教授の三澤弘明先生から、「夢のエネルギー~人工光合成の実現に向けて~」というテーマで、講義していただきました。金ナノ微粒子を使ってより広い範囲の波長の光をとらえて、太陽エネルギーをいかに有効に活用するかという興味深いお話で、特に最後に先生が「自国のエネルギーは自国で創る。自給自足にするのが望ましい。どのエネルギーを利用するかは社会が選択すれば良い。その選択肢を広げる案を科学者は多く提案しなければならない」と述べられたことが生徒の心に響いたようでした。

午後はコープ札幌の「エコセンター エコステーション」を訪問し、実際にリサイクルプラントを実施しているコープ札幌の原油回収やプラスチックトレイ再生のプラントを見学しました。説明の中で、私たちが生活の中で使うものを届ける「動脈物流」とリサイクル、リユースを進める「静脈物流」の体制を整備することが重要だと分かりました。また、エコステーションに併設されている「あすもり資料室」を最後に見学しました。

 

1月23日(木)

午前中に仁川科学芸術英才高校の生徒に本校の授業を体験してもらいました。午後は1年生のSSHの活動に参加し、1年生の個別実験の実験内容を理解してもらう良い機会となりました。2年生の時と比べると、うまく説明できない生徒が多く苦労していました。英語の得意な生徒が手助けをしていました。

1月24日(金)

昨日までの5日間でお世話になった企業や大学での経験を活かして、これまでの研究成果を本校生徒と招へい学生同士で発表しました。

仁川科学芸術英才高校の生徒はみなさん大変短い時間で今回の研修を要領よくまとめてくれました。中にはホスト生徒との思い出や食事の写真もありました。招へい学生にとっては素晴らしい経験となったようでした。

 

1月25日(土)

本校の校長と仁川科学芸術英才高校の先生から挨拶をいただきました。簡単に感想を述べていただき、最後には修了証を渡しました。

今回、バイオトイレに関するサンプルの分析を仁川科学芸術英才高校でも行ってもらい共同研究をしていくことになりました。ホストファミリーの家族の方で見送りに来ていただいた方もいて、名残惜しいお別れとなりました。このプランで学び、経験してきたことを今後、お互いの研究に活かしていってほしいと思います。