2019年度活動レポート(一般公募コース)第308号
中国の大学院生と教員が昆虫類の多様性と分類に関する技術を学ぶ
九州大学からの報告
さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、2020年1月12日から18日の7日間、湖南農業大学の大学院生7名、教員1名、華南農業大学の教員1名の計9名が、世界をリードする九州大学の昆虫分類学を中心とした昆虫科学関連の施設見学ならびに昆虫分類に関する技術体験を行いました。
初日
プログラムの目的や概要、生活上の注意事項等のオリエンテーションを行いました。
2日目-3日目
農学研究院と比較社会文化研究院ならびに総合研究博物館において、長い歴史の中で九州大学に蓄積された日本最大級の昆虫標本の見学をしました。総合研究博物館では、昆虫以外の様々な展示物を見学し、日本の文化や歴史にも触れてもらいました。
また、九州大学の椎木講堂で開催されている「農学部百年の至宝展」を見学し、昆虫関連科学を含めた九州大学農学部の100年の歴史を知ってもらいました。さらに、遺伝子資源開発研究センターでカイコの飼育施設を見学するとともに、2019年に設立された昆虫科学・新産業創生研究センターの衛生昆虫学や産業創生学といった新設の研究室の見学を行いました。
4日目
気候変動が昆虫に与える影響に関する講義を受講後、近年の昆虫相の変化について議論しました。また、他大学にはない生物的防除研究施設で昆虫や微生物の天敵を用いた防除手法を学びました。午後には研究交流会を行い、中国側からは教員2名との大学院生1名が、日本側から大学院生2名が各自の研究を紹介し、中国と日本における昆虫の多様性・分類・進化に関する討論を行いました。その後、招へい学生と教員および本学学生とで懇親会を行いました。
5日目
デジタルマイクロスコープを用いた昆虫の外部微細構造の観察、ならびに走査型電子顕微鏡を用いた昆虫の外部微細構造の観察を行いました。
6日目
午前中は、昆虫類全体、午後はチョウとガを含むチョウ目のうち、特に分類が難しい小型鱗翅類の標本を用いた分類実習を行いました。
スケジュールの合間に案内した福岡市内では、街が美しいという感想をもったようです。すべての予定が修了後、参加学生に、本プログラムについて感想を述べてもらいましたが、日本の文化や生活習慣に触れ、今後は日本に留学して学問だけでなく様々なことを学びたいと感じた人が多かったようです。
これまで交流の実績があった湖南農業大学ならびに華南農業大学とも、学生を含めた若手研究者に交流を継承していく上で大変有意義なプログラムであると感じました。このような交流の機会を与えていただいた「さくらサイエンスプログラム」に厚くお礼を申し上げます。