2019年度活動レポート(一般公募コース)第300号
日中台共同研究による太陽光で稼働するエネルギー変換材料の創出
大阪工業大学からの報告
2019年12月1日(日)から12月7日(土)までの7日間、「さくらサイエンスプログラム」の支援を受け、台湾の台湾科技大学化学工程系大学院生4名ならびに中国の華東理工大学化学・分子工程学院大学院生4名およびスタッフ1名を大阪工業大学に招へいし、国際交流を進展させることができました。
華東理工大学大学院生は東本 慎也准教授の「無機光エネルギー化学研究室」、台湾科技大学大学院生は村岡 雅弘教授の「超分子研究室」ならびに、村田 理尚准教授の「エネルギー変換物質化学研究室」に所属し、それぞれの研究室の日本人学生とともに、以下3つのテーマについて研究実習に取り組みました。
- 1)銅-インジウム-硫黄系複合硫化物ナノコロイドを用いた固体型太陽電池の作製と特性評価
- 2)芳香族複素環化合物を基本骨格にもつ色素分子の合成と色素増感型太陽電池への応用
- 3)有機薄膜太陽電池の活性層への利用が見込めるn型半導体材料の物性評価
学生たちはそれぞれ与えられたテーマに非常に刺激を受け、その日の課題や実験内容を話し合い、また、論文を読んで理解を深め、試行錯誤しながら熱心に実験をしていました。彼らは短い時間の間に実験内容を把握し、有機合成、無機合成、そして物性評価に取り組んでいました。
本学での研究の合間には、学外研修・施設見学として、大阪産業技術研究所(森ノ宮)を訪問しました。「酸化物系、および硫化物系シート型全固体電池の開発」というタイトルで大阪府立産業技術研究所研究主幹 兼 電子材料研究部電池材料研究室長 高橋雅也先生から、全固体型Li二次電池に関する最新の研究成果についてお話し頂きました。
さらに、同センターの分析機器を見学し、最新の電池性能評価に触れることができました。学生さんから多くの質問があり、大変有意義なディスカッションとなりました。彼らは最新の技術に驚いていました。
研究実習に勤しむだけでなく、リラックスタイムもありました。研究室で一緒に実習に取り組んだ日本人学生が、台湾と中国からの大学院生を京都そして大阪の街を案内し、3か国学生間の親睦がより一層深まりました。京都では古都に触れ、嵐山周辺の散策、そして大阪では大阪城の見学、難波、心斎橋の景観、たこ焼き、お好み焼きの食文化を体験していました。
実習最終日には、研究グループごとにプレゼンテーションを行い、研究成果を発表しました。英語での見事なプレゼンテーションで、参加大学院生のレベルの高さが実感されました。短い期間でしたが、それでも貴重な発見がありました。
7日間を共に過ごした受け入れた日本人学生にとっても、「英語でのコミュニケーションはいい刺激になった!」とコメントがありました。また、台湾と中国の大学院生は、「日本の最先端電池技術を体験できてよかった。また日本文化にも触れることができて日本の良さがわかった」、そして何よりも「いつか日本で仕事がしたい!」といった嬉しいメッセージを残して無事帰国しました。
最後になりますが、「日中台共同研究による太陽光で稼働するエネルギー変換材料の創出」に向けたプログラムを遂行するにあたり、多大なるご支援を賜りました「さくらサイエンスプログラム」に心より感謝申し上げます。