2019年度活動レポート(一般公募コース)第296号
大気環境中のエアロゾル・雲の世界最先端のリモートセンシング観測技術に関わる日中大学間交流
千葉大学環境リモートセンシング研究センター
入江 仁士さんからの報告
東京近郊にて冬の訪れをひしひしと感じ始めた2019年12月16日-22日の7日間、千葉大学に中国の南京信息工程大学より7名の大学院生と4名の教員を招へいし、「大気環境中のエアロゾル・雲の世界最先端のリモートセンシング観測技術に関わる大学間交流」をテーマとして、本交流計画を実施しました。
社会の最大の関心事のひとつである気候変動問題に深く関わる大気環境中のエアロゾル・雲の世界最先端のリモートセンシング観測技術を通じて千葉大学と南京信息工程大学の交流を深めることを目的としました。短期間であったものの、非常に密な時間を過ごし、交流を深めることができました。
12月16日
招へい者11名は、夕方に千葉大学に到着しました。来日初日にもかかわらず疲れた様子はなく、初めて来日の方がほとんどだったこともあり、皆の目が期待に満ちてきらきらしていたことが印象的でした。千葉大学への到着時刻が予定よりやや遅かったため、到着後直ぐに予定していたガイダンスを実施しました。
Welcomeの言葉を実施主担当者である千葉大学の入江から伝え、ガイダンスを始めました。まずは、日本への留学に興味を持ってもらうために、千葉大学側より入江研究室に所属している中国の学生2名に、日本での留学の経験談を語ってもらいました。中国語でしっかりと生の声を伝えてくれたので招へい者によく理解してもらえ、雰囲気も和やかになり、日本の留学に大きな興味を持っていただけたように感じました。
その後、自己紹介の時間を設けて、名前と趣味を順番に話してもらいました。その後、滞在期間中のスケジュールの確認等を行い、懇親会にうつりました。ここで工夫したのは、テープに名前と趣味をマジックで書き、そのテープを胸に貼って、お互いがコミュケーションをしやすいようにしたところです。実際、さらに場が和み、お互いの交流を促すことにつながったと思います。その効果もあり、懇親会は顔を合わせたのが初めてと思えないぐらい両大学の学生のあいだも含めて、とても盛り上がり、良い初日を終えることができました。
12月17日-18日
送り出し機関の実施担当者である張先生が過去に長期滞在していた東北大学へ移動。長期滞在中に所属していた東北大学の岩渕先生の研究室を訪問しました。東北大学では、特に放射伝達モデルをテーマとして研究発表や議論を行いつつ、日中の交流をさらに深められました。
12月19日
午前中は、千葉大学で最も背の高い建物のひとつの屋上にある我々の大気環境観測施設(SKYNET国際観測ネットワークの千葉サイト)を見学する予定としていました。しかしながら、あいにく雨天だったため、予定を若干変更して、午後に予定していたグループワークを先に開始。日中の学生を混ぜた形で2グループ作成。各グループによるグループワークとして、SKYNET国際観測ネットワークのデータを使って、今回来日した期間において、大気中の微小粒子(PM2.5)やブラックカーボンの重量濃度等の大気環境の変動について研究を行うという課題を与えました。国境を越えて皆で協力し、時間を惜しんで一生懸命に、だけど、とても楽しみながら共同でデータ解析を行っていました。
12月20日
朝から快晴となり、前日に予定していた観測施設の見学を実施しました。大気が澄んでいれば雪化粧した富士山が観測できるはずでしたが、残念ながら、当日はエアロゾルが多く(PM2.5>10 μg/m3)、富士山の姿が見えず。しかしながら、エアロゾルの影響を実際の観測(目で)から実感する機会となりました。
焼き鳥屋さんでのランチをはさんで、午後はお互いに交流が深まった後のプレゼンテーションの時間。日本側からは中国の学生が日本語のスライドを中国語で話しながらプレゼンテーションをするという珍しい試みも含めるなど、お互いが理解を深める良い機会となりました。議論を進める中で、日本の学生は中国語の勉強にもなり、中国の文化を学ぶ機会になったように感じました。
12月21日
東京スカイツリーからの首都圏大気環境の目視観測。翌年に東京オリンピック・パラリンピックが開催される場所を目の当たりにするなど、日本をより身近に感じてくれたものと思います。その後、浅草などを観光し、翌日、無事に帰国されました。
最後になりますが、このたびは大変貴重な機会をいただき、ありがとうございました。特筆すべきは、我が国の学生と中国の学生が密に交流し、お互いに刺激を強く受け合ったことです。またこのような機会をいただけたら幸いです。