2019年度 活動レポート 第291号:早稲田大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第291号

ICTを基盤とするコンテンツ産業とそれを通じた社会的イノベーションの実践

早稲田大学社会科学総合学術院からの報告

早稲田大学先端社会科学研究所では、2019年12月11日(水)から12月17日(火)まで約1週間の日程で、ブータン王立大学(Royal University of Bhutan)から教員・学生を招へいするプログラムを実施しました。さくらサイエンスプログラムの支援による同プログラムの実施は2016年度、2018年度に次いで、今回で3回目となります。ブータン王立大学傘下のジグメ・ナムゲル工科カレッジ(Jigme Namgyel Engineering College)、および、シェラブツェ・カレッジ(Sherubtse College)の2つのカレッジから、それぞれ教員1名と学生5名、合計12名が招へい者として選抜されました。

プログラムの内訳は、早稲田大学における学内プログラムと学外における視察・フィールド調査の大きく2つに分類されます。まず、学内プログラムとしては、本学の3つのキャンパス(早稲田、西早稲田、所沢)におけるツアー、本学教員による特別講義や国際ワークショップ、そして、本学学生との交流イベントなどが実施されました。

12月12日(木)に実施した国際ワークショップでは、本学の佐藤洋一先生(社会科学部教授)、清水健太さん(社会科学研究科博士後期課程)の協力の下、外部講師として栗生はるかさん(文京建築会ユース代表)をお招きし、谷根千エリアのまちあるきを行いました。このワークショップは、先端的な都市である東京のなかで比較的伝統的な街並みが残る同エリアにおいて、古い建物が消え高層ビル群へと置き換わっていく様子を肌で感じながら、「伝統を守るとはどういうことなのか」を考えていただくことを企図して開催されました。ICTを通じた先端的な社会イノベーションを掲げた本プログラムのなかでもとりわけ異色の内容であり、また挑戦的な試みでもありましたが、伝統文化を守ることを国是とするブータンの招へい者たちにとっては一様に、自国の将来を考える良いきっかけとなったようでした。

一方、学外プログラムとしては、日本科学未来館における最先端の科学技術に触れる経験、また、デジタルハリウッド大学における最先端ICTを利用したコンテンツ産業とその人材育成の現場視察、そして、鎌倉エリアの散策を通じた観光とICTの融合の在り方の実体験などを準備しました。

さらに、プログラム期間中に早稲田大学を会場として「ブータンデー2019」と題するイベントが開催され、これにも招へい者全員で参加しました。同イベントは、民間レベルの日本・ブータン間の交流組織としては国内最古かつ最大である日本ブータン友好協会が、毎年、ブータンの建国記念日(12月17日)にあわせて開催しているものです。招へい者たちは、日本において長年ブータンとの架け橋となってきた方々、あるいは、日本在住のブータン人留学生たちとの交流を大いに楽しんでいたようでした。

今年のプログラムも、招へい者と早稲田大学の教員・学生、そして協力者たちのおかげで充実した内容となり、また、大きな事故も無く終えることができました。このプログラムをきっかけとして、ブータン王立大学と早稲田大学、ブータンと日本との絆が、さらに深まっていくことを願うとともに、招へい者たちの今後の人生の糧となることを期待します。