2019年度 活動レポート 第280号:都城工業高等専門学校

2019年度活動レポート(一般公募コース)第280号

ABUロボットコンテスト参加に向けた実践的なロボット製作に関する技術研修

都城工業高等専門学校からの報告

2019年12月6日~15日までの10日間、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、モンゴル国立科技大付属高専・新モンゴル学園高専・モンゴル工業技術大学(IET)付属高専の学生9名及び引率教員2名を本校に招へいし、アジア太平洋ロボコン(ABUロボコン)参加に向けたロボット製作の技術研修を行いました。招へいした学生たちは、各高専のロボコン部に所属しており、2020年4月に行われるモンゴル国内予選で代表権を獲得し、フィジーで開催されるABUロボコン本大会に進出することを目標に活動しています。

今回は、モンゴル高専生が機械系と電子制御系に分かれて技術研修を行いました。機械系の研修では、精度の良い部品の作り方やコツを学んでもらいました。ロボコンに向けたロボット製作は、課題が発表されておおよそ6ヶ月でロボットを完成させなければなりません。短期間で部品を組み上げて動作確認をするためには、精度の良い部品を作ることがとても有効であり、ロボットの完成度を大きく左右します。ハンドツールを利用した手作業でも、位置決めをしっかりと確認した上で、集中力を持って加工すれば、部品の組立が容易であることを理解してくれました。

精度加工研修
集中して加工に専念する学生たち

電子制御系では、モータードライバを製作し、プログラミングによるモーターの回転制御を行いました。既製品ではなく、仕組みを理解した上で、電子部品を組み合わせて大容量のモータードライバを自作できたことは、学生たちの自信にもつながったようです。

モータードライバを自作

本校ロボコン部員の学生たちも技術研修の補助員として参加し、日蒙学生間の交流を深めました。モンゴル各高専は、必須科目として日本語の授業が行われています。初めて来日した学生たちは、学んだ日本語を使うことを躊躇していましたが、日を追うごとに環境にも慣れて、積極的に日本語で話すようになりました。授業で学んだ知識を使って日本人と会話ができたことは、今後の日本語の学習意欲につながったと思います。

都城高専学生と一緒にプログラム作成

技術研修の期間中に、県内企業3社から工場見学の協力をいただきました。宮崎という辺境の地であるにもかかわらず、最先端設備が充実している工場や世界中に部品供給するグローバルな工場が存在することに、モンゴル高専生たちはとても驚いていました。モンゴルの高専で学ぶ多くの学生は、日本へ就職又は進学し、技術を習得した後にモンゴルへ帰国し、母国の発展に寄与したいという思いを持っています。工場見学後に学生たちは、幅広い技術を身につけるためにはどのような企業に就職すればよいか考え始めていました。

研修を無事に終えて、機械系で製作したベースにモーターを取り付け、電子制御系で作ったモータードライバを使って動作確認をすることができました。基礎的な内容ではありましたが、ロボットを製作する上で必要不可欠な技術研修ができたと考えています。参加した学生には、ロボコン部で学んだ技術を実践して完成度の高いロボットを作り、4月に行われる代表決定大会に向けて自信を持って取り組んでほしいと思っています。

修了式後、都城高専学生及び教職員と

今後もさくらサイエンスプログラムを通じて、多くのモンゴル高専生たちに日本を身近に感じてもらいたいと考えています。その学生たちが将来、日本と深い関係を持って、日本の技術を習得し、モンゴル国の発展に力を尽くしてくれることを願っています。