2019年度 活動レポート 第276号:名古屋工業大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第276号

地震大国日本で学ぶ最先端減災・防災技術

名古屋工業大学からの報告

この度、2020年1月7日(火)から2020年1月16日(木)まで、フィリピンのボホール島州立大学(BISU)から学生3名とインストラクター11名の計14名を招きました。現在、BISUの中で防災学科を設立する動きがあることから、日本の最先端の減災・防災技術を体験し、習得する場を提供することを目的とし、活動を進めてきました。

1月8日(水)

オリエンテーションを行い、北川啓介研究室と本学の耐震に取り組む施設等を見学しました。

1月9日(木)

本学教員による研修を行いました。日本の水災害の歴史とその対策について冨永晃宏先生の講義から、洪水対策の重要性を学び、実験室で水理現象を観察しました。また、井戸田秀樹先生から木造住宅の耐震補強促進に関する講義を受けた後、低コストな工法開発の際に用いた機械や試験体を見学し、意見交換を行いました。

井戸田秀樹先生と実験室での質疑応答

1月10日(金)

佐藤篤司先生から環境防災に関する講義を受け、現在進められている耐震補強やリスクマネジメントの考え方を学ぶことで、今後の防災について理解を深めました。さらに北野利一先生による津波の危険性と避難方法の講義では、実験装置を用いて風により生じる波と津波を発生させ、参加者も”Tsunami Wave!” と声を出すなどして、有意義な時間となりました。

北野利一先生による津波を再現する実験

1月11日(土)

長久手の住宅展示場にて様々な日本の住宅を見学し、基礎形状の工夫や、壁内部のブレースの設置方法などを学びました。減災館ではフィリピンでもよく発生する台風の仕組みなどについて実験を通して理解を深め、地震や津波により発生する廃棄物の問題についての講義も受けました。

1月12日(日)

豊田市防災学習センターでは災害時の状況を体験し、災害に備える必要性を再認識しました。トヨタ鞍ケ池記念館ではトヨタ自動車の歴史や自動車産業の安全性に対する見識を深めました。

豊田市防災学習センターにて秒速30mの風を体験

1月13日(月)

国宝である犬山城に行き、伝統的な木造の組み方や各部屋の役割などを理解しました。その後城下町の散策や資料館の見学を通して、日本の住居や行事の伝統的な特徴や保全について理解しました。

伝統的な日本の木造を間近で観察

1月14日(火)

安価で短時間で施工できる、仮設建築物について北川啓介研究室の学生に紹介してもらいました。さらに、本学安全管理室の京田司室長から本学の避難訓練についての講義を受け、日頃の防災意識を高めるための工夫や改善点について議論しました。

1月15日(水)

北川啓介先生からインスタントハウスの紹介を受け、中の空気を温め、高い断熱性能により、フィリピンの気温を超えた温度を体感しました。その後、日本での経験を振り返り、成果報告会にて熱い議論を行いました。最後に賞状とバッジを渡し、懇親会ではプログラムに関わった先生方や学生と交流を深めました。

成果報告会

短期間でしたが、防災についての最新技術の体験を通して新たな知見を得るとともに、日本の文化にも触れることができました。今回この機会を与えてくださった「さくらサイエンスプログラム」に心から感謝を申し上げます。