2019年度活動レポート(一般公募コース)第235号
インドネシアと日本の共通課題を学ぶ
立命館慶祥中学校高等学校からの報告
日本とインドネシアは、「地震」「火山の噴火」など、多くの災害を経験してきました。両国の生徒がこの共通課題について深く考え、共同課題研究を行うことで交流を深めようと、2019年10月15日~21日にさくらサイエンスプログラムの支援を受けてインドネシアBudi Mulia Dua International High School(BMD)の高校生6名・教員1名の受け入れを行うことができました。
10月15日
2018年9月の北海道胆振東部地震におけるがけ崩れ復旧作業中の現場や、仮設住宅の見学を行いました。厚真町の担当者から詳細な説明を受けたBMDの生徒たちは、防寒対策が十分に考えられた仮設住宅に驚きを感じていました。
10月16日
本格的な共同課題研究を開始しました。BMDの生徒と日本人の生徒が、各自の興味のあるテーマごとにグループに分かれ、研究を行いました。事前にSNSを使って研究テーマの絞り込みを行っていたため、スムーズな実験開始となりました。各グループの研究テーマは以下の通りです。
- グループA:The Power Of Soil In Water Holding(水を保持する土壌の力)
- グループB:Eruption Model Of Mt. Usu and Mt. Merapi(有珠山とムラピ山の噴火モデル)
- グループC:The Possibility of Landslides Occurrence in Various Locations Determined by the Different Type of Soils(異なるタイプの土壌によって決定されるさまざまな場所での地すべり発生の可能性)
- グループD:Using Natural Sand to Make Mortar(天然砂を使用してモルタルを作る)
実験の合間には、両国の文化交流や日本文化体験を行い、研究グループのメンバーやホストファミリーと仲良くなれるひとときとなりました。
10月17日
北海道大学大学院環境科学院の露崎史朗教授による講義を受けに行きました。火山の噴火と植生の遷移を中心とした講義の中で環境問題にも触れられており、インドネシアにはこのような学問を学べるところはないとBMDの生徒が感動の言葉を口にしていました。ぜひ、この教授の元で学びたいと思うようになったそうです。
10月18日
本校教員による地震と工学についての講義を行いました。地震の多い地域の建築物は、地震の揺れという力を考えた上で作る必要があること、揺れによる共振などについて学びました。
10月20日~21日
成果発表を行いました。各発表に対して多くの質問が出され、活発な議論となりました。今後も研究を続けていく際にはどのようなことに目をつければよいかといった発言もあり、今回の交流に留まることなく今後も引き続き調査を行っていくという意志を感じました。
有珠山や昭和新山を巡る洞爺湖研修も行いました。BMDの近くにあるムラピ山はほぼ一年中噴煙を上げる火山で、その被害はとても大きなものです。それに比較して、有珠山は2000年の噴火の際に火山性の地震の感知をもとに全員避難に成功した経験を持ち、噴火予測をしやすいと言われる理由やその方法等についてフィールドワークをしながら学びました。
文化も言語も違う他国の生徒とともに、多様な考え方をぶつけ合いながら実験し、発表するという濃密な1週間でした。日本人生徒も、このプログラムによって自分の進路の考え方が大きく変わったと感じたようです。このような機会を与えてくださったさくらサイエンスプログラムに心よりお礼申し上げます。