2019年度活動レポート(一般公募コース)第225号
弱視の多発するインド大学病院との医工連携加速のための共同研究
電気通信大学からの報告
2019年9月8日から9月17日、「さくらサイエンスプログラム」によりインドの医療系大学においてトップクラスの優秀な医学生を招へいし、共同研究プログラムを実施しました。
次の観点から、本邦・現地どちらの側にも非常にポジティブな影響がありました。
- 研究交流:世界最大の弱視患者数を持つインドの医師・研究者と共に、本邦にて発案した世界初の両眼開放型治療方法に基づく医療機器を操作してもらいながら、電気通信大学(以下、本学)のものづくりやIoT技術を生かしたワークショップを行うことで、技術・研究交流が達成されました。
- 産学連携:眼科用医療機器のトップメーカー(NIDEK)を訪問し、モノづくりの現場を視察した上で、開発担当者とインドならではのニーズや改良方法について議論しました。日本のモノづくりの現場をみることで、レジデントにとっては将来の日本での就業意欲が培われ、また研究者にとっては国際研究のモチベーションが吟醸されました。また現場のワーカーも海外からの視察に刺激され、現地ローカライズについてより強く意識するようになったようです。
- 病院・医学的交流:当方の共同協力者(北里大 半田教授)を訪問して合同研究ゼミを開催し、日本での最新の手技を学ぶと共に、日本人医師・研究者・学生を交えた研究議論を行いました。日本の工学系大学である電通大と、医療衛生系大学である北里大の特色をそれぞれ良く感じ取ることができ、特に留学を希望する学生にとっては貴重な経験となったようです。また日本側の学生も積極的にコミュニケーションをして、初めての英語でのプレゼンテーションや議論も良い刺激となりました。研究者同士も、国際・医工連携の観点から活発な研究議論が交わされました。
- 国際連携の推進:交流にあたって招致者が本学の中野理事と面会し、活動の重要性を組織間で理解し合うことができました。また本交流をきっかけに信頼関係が生まれ、今度は共同でJICA事業等へ応募することを話し合うなど、国際共同研究を進める上での大きな展開がありました。北里大では北里副学長と面会し、また病院のサージェオン(医師)から実際のクリニカルパスに基づいた臨床面での意見交換を行うなど、多くの刺激を得ました。
※今後の要望として、招致者からは本邦の国立機関(大学共同機関や国立美術館・博物館など)に行ってみたいという要望が多かったため、科学未来館のみならず他の機関においても優遇措置などが図られると良いと思います。
●その他
招致者の居るムンバイ及びアーメダバード間は日本の技術協力により2023年までに新幹線が敷設される見込みです。今回は東京から名古屋への移動にて新幹線を利用し、一足早く快適な列車の旅を体験し貴重な文化交流となりました。この他、科学未来館などを見学しました。