2019年度活動レポート(一般公募コース)第213号
アジアの若手研究者の卵たちが共修するアジア環境レジリエンス研究イニシアチブ
長崎大学アジア環境レジリエンス研究センターからの報告
2019年11月11日から15日までの5日間、長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科アジア環境レジリエンス研究センター(AERRC)の主催により、アジア地域における持続可能な開発目標(SDGs)の達成に資する環境レジリエンス研究の重要課題について考える若手研究者育成プログラムとして、アジア環境レジリエンス研究イニシアチブ(AERRI2019)を実施しました(使用言語は英語)。
「さくらサイエンスプログラム」の支援を受け、タイ王国マヒドン大学環境資源学部から修士課程の大学院生10名と引率教員2名(その内引率教員1名はAERRC経費による招へい)を長崎大学環境科学部に招き、加えて台湾國立高雄科技大学の学生21名と長崎大学の学生14名の合計45名のアジアの若手研究者の卵たちが参集し、特別講演、国際ミニシンポジウム、集中講義、環境フィールド巡検等からなる本プログラムを通して、大気環境汚染、水環境汚染、資源循環、防災・地域振興等SDGs達成に資する重要研究課題について学び、PBLグループに分かれて議論を深めながら共修しました。
初日のAERRI2019開講式では、萩原研究科長による歓迎の挨拶の後、馬越AERRC長により長崎大学における学際的な環境科学研究者育成のための教育研究活動の紹介を行いました。続いて、マヒドン大学及び國立高雄科技大学における教育研究活動紹介を行いました。参加した総勢45名の学生は、初日から8つの混成PBLグループに分かれ、最終日のPBLグループ発表会まで毎日グループワークに取り組みました。
2日目に実施したアジア環境レジリエンス研究国際ミニシンポジウム(MSAERR2019)では、各自の研究内容を紹介する全45題のポスターを偶数番号と奇数番号の2組に分け、概要を紹介する2分間の口頭発表と研究内容について議論するポスター発表を行いました。ポスターの前では、学生達が活発に質疑応答を繰り広げ、各自の研究テーマがどのようにアジアのSDGs達成に貢献できるか深く考える良い機会となりました。
3日目は、集中講義形式の研究セミナーを実施しました。長崎大学総合生産科学域(環境科学系)の教員3名と、マヒドン大学環境資源学部の教員2名が講師となり、大気環境レジリエンス、水環境レジリエンス、資源循環レジリエンス、防災・地域復興レジリエンスの4つの研究セミナーを実施しました。
4日目は、AERRCで重点的に取組んでいる長崎県島原半島ジオパーク地域の環境レジリエンス研究プロジェクトの野外フィールド現場を巡検しました。島原市では湧水を中心した水資源、南島原市では火山災害からの地域復興、雲仙市では温泉熱や地熱を活用したクリーンエネルギー等、長崎の環境レジリエンス研究の現場を体感しました。
5日目は、PBLグループ内で議論を重ねたグループワークの成果として、各グループがアジア地域のSDGs達成のために重要と考える研究課題について発表を行いました。そして、AERRI2019修了式を実施し、修了証を授与しました。
本プログラムは隔年で実施する計画としており、2020年度はマヒドン大学環境資源学部が隔年で開催している環境資源研究に関する国際会議(ENRIC2020)に長崎大学から大学院生を派遣して、相互に交流を継続する予定です。
最後に、本プログラムにご支援くださった「さくらサイエンスプログラム」、長崎大学及び島原半島ジオパーク関係者の皆様、その他機関・団体の関係者の皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。