2019年度活動レポート(一般公募コース)第212号
台湾師範大学との九州横断巡検プログラム
九州大学地球惑星科学
清川 昌一さんからの報告
8月27日
台湾師範大学の一行が、福岡空港にやってきました。学生は全員初めての日本であり、非常に期待していたようです。私の学生にも外国人とのコミュニケーションを体感してもらうために、総動員で彼らとともに数日間を過ごしました。到着時のホテルは、糸島A-Zホテル。地下鉄から直通で来られます。その日のうちに九大内にて実習。付加体実験とタービダイト実験を行いました。ともにビジュアル的に面白い実験なので携帯ビデオをとりながら、日本で起こっている地学現象を想像していました。糸島半島のレストランで夕食をとりました。
8月28日
この日は昨日からの記録的な雨で出発が大幅に遅れました。大洪水のために予定していたバスが、5時間も遅れて到着しました。バスには乗ったものの、渋滞がひどくて、結局1日目は宿に直行しました。バーベキューで元気が出て、夜の発表会で、翌日からの巡検に備えました。
8月29日
天気はすぐれませんでしたが、阿蘇をめぐりました。熊本地震で崩壊場所は、まだ生々しくいたるところで残っています。阿蘇大橋を飲み込んだ有名な崖崩れは、半分ぐらい修復が進んでいて、人間の力のすごさも感じていました。リモナイト鉱山は、日本唯一の鉄鉱山なのですが、これが鉱山??という感じでした。阿蘇の酸性水に溶けだした鉄が中和して、鉄鉱層になると聞き、自然のメカニズムの面白さを楽しんで、鉄っぽい味の地下水を飲んでいました。
阿蘇山は、霧の中数m先が見えない状態でした。火山博物館で映像や展示物を真剣に学んでいました。夜は、高級なホテル“阿蘇かんぽの湯”です。露天風呂温泉と様々な料理が出てくる食べ放題でした。何度も料理を取りに行っている学生は、ご機嫌そうでした。
8月30日
やっと晴天。阿蘇カルデラ形成時に周囲に大噴出した阿蘇4火砕流と、日本に付加した石灰岩体を観察するのが課題です。阿蘇4の火砕流がトンネルの中でみられる野鹿を歩き、阿蘇4が溶結してカチカチになった東洋のナイアガラといわれる原尻の滝を観察しました。午後は、(株)太平洋セメントの石灰岩鉱山とセメント工場の視察を行いました。津久見鉱山は日本第2位の巨大石灰岩鉱山であり、台湾には見られない海山起源の石灰岩が観察できました。夜は、田舎の安宿を体験しました。夕食は各自スーパーで調達し、みんな喜んで日本食料品を吟味していました。
8月31日
三波川変成岩帯という15㎞で形成している岩石を豊後水道で観察しました。名物の関アジ定食後、別府に移動して、地獄めぐりを楽しみました。夕方、白濁した明礬温泉に入って日本の温泉文化に浸ってもらいました。その後、宿泊施設のある久留米へ。
9月1日
大宰府・福岡について歴史を中心に堪能してもらいました。
9月2日
久留米からは空港海外ターミナルに直行バスで移動ができ、そのまま帰国できました。
台湾の学生は、頑張って英語でコミュニケーションをとってきました。日本の学生は非常にプレッシャーになり、自分らも頑張らねばと思ったようです。台湾の学生は、友達もできたしまた日本に来たいと話していました。大成功でした。前半天候が悪かったのですが、真夏の日本でしたので、ちょうどよい九州横断巡検でした。