2019年度 活動レポート 第211号:新潟大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第211号

数理分野における数値計算の最先端研究の研修

新潟大学からの報告

大学理学部では「さくらサイエンスプログラム」の助成により、2019年8月25 日から9月1日までの8日間、中国の6大学・研究所(中国科学技術大学、中国科学院数学・システム科学院、貴州師範大学、北京大学、河海大学、西南科技大学)、台湾の2大学(成功大学、交通大学)、および、アルゼンチンのブエノスアイレス大学の学部生、大学院生、引率教員21名を受け入れました。

新潟大学理学部での集合写真

今回のプログラムのテーマは「数理分野における数値計算の最先端研究の研修」です。このプログラムを通じて、有限要素法に関する研究を含めて、精度保証付き数値計算(計算機援用証明)分野で活躍される日本の研究者6名による授業と講演を行いました。

スケジュール

8月25日(Sun) 新潟空港に到着
8月26日(Mon) オリエンテーション、キャンパス見学、劉先生の講義、 歓迎会
8月27日(Tue) 関根先生による講義
8月28日(Wed) 山本先生による講演、弥彦神社拝観・弥彦山登山
8月29日(Thu) 渡部先生、中尾先生、劉先生による講演、講義、 青山海岸でのBBQ
8月30日(Fri) 劉先生、長藤先生による講演、富山県黒部での文化体験
8月31日(Sat) 研修成果報発表会、YKK黒部センターパーク見学
9月1日(Sun) 成田空港から帰国

集中講義によって精度保証付き数値計算への理解を深める

東洋大学の関根先生が、精度保証付き数値計算の実践的な集中講義を行いました。この授業では、学生たちが新潟大学理学部で開発された最先端のクラウド教育システム(CES)を利用して、精度保証付き数値計算の理論と実践について理解を深めました。

精度保証付き数値計算の講義

講演会によって最先端の研究内容に出会う

精度保証付き数値計算に関する数学の理論を中心にして、集中講義や講演を行いました。

  • 新潟大学 劉先生
    「Computer-assisted proof for the stationary solutionexistence of the Navier-Stokes equation」の講演や、有限要素法による微分作用素の固有値の高精度な評価方法の集中講義を行いました。
  • 東洋大学 関根先生
    「Introduction to verified computing」
  • 電気通信大学 山本先生
    「Fixed-point theorems in verification methods and their applications」
  • 九州大学 渡部先生
    「Numerical verification methods for nonlinear equations」
  • 九州大学 中尾先生
    「From approximation theory to computer assisted proofs in analysisーNumerical verification for PDEs」
  • カールスルーエ工科大学(ドイツ) 長藤先生
    「Computer Assisted Proofs for Non-linear Partial Differential Equations」
渡部先生による講演

精度保証付き数値計算は、計算機援用証明において重要な道具となりますが、参加各国では精度保証付き数値計算に従事している研究者は少ないという現状があるようです。今回の一連の講義やセミナーを通して参加各国の学生たちに精度保証付き数値計算を知ってもらうことで、将来的には参加各国から多くの研究者が来日し、日本の研究者との共同研究を行うことで、今後の新しい研究成果に繋がると信じています。

日本の文化体験

今回の研修活動を通じた日本文化体験として、弥彦村への訪問、新潟大学近辺でのBBQ、宇奈月温泉への訪問を行いました。これらの体験を通じて、弥彦神社、岩室温泉や宇奈月温泉、日本海に沈む夕日や黒部渓谷、地場産の日本料理などの日本固有の伝統文化と豊かな自然を経験、体感できたと思われます。

宇奈月温泉での一枚

日本のものづくり体験

宇奈月温泉への訪問後、黒部の市街地へ向かい、YKKセンターパークを見学しました。 YKKの歴史やファスナーや建材などの生産技術の見学を通して、世界トップクラスのものづくり技術を体験しました。

YKKセンターパークの見学

今回のプログラムによって、これまでに行われたアジアにおける国際交流に南アメリカのアルゼンチンの研究者を含めて、より一層拡大した計算数学分野における国際研究交流ができました。 これを機会により多くの国の学生たちに日本への関心を持ってもらい、日本での研究活動に発展することを期待したいものです。

最後にこの場を借りて、本事業にご助力頂きましたさくらサイエンスプログラムならびに関係者の皆様に感謝申し上げます。