2019年度活動レポート(一般公募コース)第207号 (Bコース)
次世代シーケンサーを高度活用した世界規模課題解決のための国際共同研究
九州工業大学大学院生命体工学研究科
前田 憲成さんからの報告
2019年7月7日~7月27日の21日間、さくらサイエンスの支援を受けて、マレーシア国民大学から大学院生2名、マレーシアのスルタンザイナルアビディン大学から教員2名、マレーシアのスルタンイドリス教育大学から教員1名と学生1名、コロンビアのサンタンデール工科大学から学生1名、メキシコ国立自治大学から学生1名、合計8名を招へいし、共同研究活動を実施しました。
この活動の目的は、本学大学院生命体工学研究科内に設置されている、次世代シーケンサーやリアルタイムPCRなどの先端機器を、この国際共同研究活動に活用し、先端技術の伝授を行うと共に、研究技術開発に必要な基礎データの収集を加速することです。招へい者の各研究室で取り組んでいる研究に関わる試料を対象として、細菌群集構造などを明らかにし、パーム油工場排水を用いた微生物燃料電池システムにおける菌そうの調査、パーム産業廃棄物を活用した微細藻類の炭素固定に及ぼす細菌生態の影響の検証などを明らかにするための国際共同研究を進めました。
7月7日に来日後、はじめに電車・バスの乗り方、北九州市内ホテルから本学研究科への行き方、およびイスラム教徒向けの食事処を教示しました。
7月8日以降は、はじめにオリエンテーションや自己紹介などを行ったあと、3週間の期間、各サンプルからのRNA抽出、そのRNAの電気泳動によるクォリティチェック、分光光度計を用いた濃度測定、リアルタイムPCR、次世代シーケンサーの運転などを進め、得られたデータの解析などを行いました。
7月26日には、3週間の活動に対する成果報告会を実施し、招へい者8名が活動を通して得たデータを本プログラムに参加した全員で討論しました。討論後は、修了書授与と送別会を行い、この3週間の活動を終えました。8名の招へい者は、7月27日に無事に帰国しました。
本プログラムは、次世代シーケンサーという最先端機器に対して、日本人学生と協働に研修を行うことで、招へい者に対する技術提供のみならず、共に活動した日本人学生の国際交流マインドを開花させ、育成するという一石二鳥の成果を得ました。はじめ、英語によるコミュニケーションに自信のなかった学生も、日々協働に研究を進めることで、少しずつ英語が上達していき、プログラムの終盤には積極的に英語によるコミュニケーションをとっていたことは、このプログラムによる大きな成果といえます。これらの活動を機に、本プログラムに参加した全ての若手研究者が、将来海外でも臆することなく活躍できる技術者へと成長してくれるものと信じています。
本プログラム実施の機会を与えた頂いた「さくらサイエンスプログラム」、そして本プログラムの実施を支えて頂いた本学のスタッフの皆さんに深く感謝申し上げます。