2019年度 活動レポート 第199号:三重大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第199号

インドネシアとの次世代マテリアルズデザイン共同研究に向けた持続的展開

三重大学からの報告

さくらサイエンスプログラムによるプログラムを2017年度に開始し、今回で3回目の開催となります。私達がこれまでに開発してきた「表面界面系を主としたマテリアルデザイン手法」を基に当該分野に強い興味を持つアジア地域の大学院生を招へいし、薄膜系マテリアルデザインに関するアジアンネットワークの持続的継続基盤を構築することを目的としています。今回はインドネシア・バンドン工科大学大学院生4名及び同大学ガジャマダ大学大学院生4名を招へいし、2019年10月14日から20日まで実施しました。

本学工学研究科内研究室の見学。リチウム電池を作製した様子

本学到着翌日(2日目)に開講式及びオリエンテーションを実施後、本学大学院生との共同実習・研究テーマに関する意見交換会や本学大学院生の協力のもと入力ファイルやプログラム実行のためのシェルスクリプト、データ処理のためのプログラムの作成など計算機利用に関する初歩の実習から始めました。

本学大学院生との共同実習の様子

3日目から共同実習・研究を本格的に実施し、4日目には、津市キャンパスを離れ、四日市市の三重大学北勢サテライト知的イノベーションセンターで、本学地域創生プログラムの紹介を行いました。今回は固体物質を始め磁性体超薄膜のバンド構造に関するテーマを設定し、これらの材料は次世代スピントロニクスデバイスの鍵となる材料で、自ら種々の物質のバンド構造を計算することによりデバイス材料の構造と物性を系統的に理解することができました。

三重大学北勢サテライト知的イノベーションセンターで実習を実施したときの全体写真

本学工学研究科及び本学卓越型「特異構造の結晶科学」リサーチセンター内の研究室見学を行いました。電池研究に関する歴史と展望などの解説を受け、実際にチャンバー内でリチウム電池を作製し、最先端電池に触れることができました。また、窒化物半導体について解説を受け、クリーンルームで窒化物半導体の結晶成長や光デバイス作成の現場を見ることができ、光エレクトロニクスの最先端研究も経験できました。

本学卓越型「特異構造の結晶科学」リサーチセンター内研究室の見学。
クルーンルームの見学の様子

また本学地域イノベーション学研究科主催の国際ワークショップにも参加し、合同の交流会ではバンドン工科大とガジャマダ大学の紹介やバリ地方のダンスを披露しました。本学工学研究科長を表敬訪問し、また修了式を実施しました。週末には、日本や三重の特色ある地域・歴史に触れる目的に、伊勢市と京都市を訪問し、関西空港から帰国しました。

週末に訪問した伊勢市内の地域・歴史に触れている様子

7日間は非常に短い期間でありましたが、私達の目標であるマテリアル・アジアン・ネットワークの持続的展開を確信することができました本プログラムをきっかけに、本年度両大学と学部間協定に至り、大学院生間の個人的な付き合いも始まっています。例えば、本プログラム終了後、本学大学院生もバンドン工科大学とガジャマダ大学に一ヶ月間滞在し、共同研究のみならず現地大学生との交流・相互理解、地域・生活文化に直接触れるなど素晴らしい経験を積まれています。11月下旬には実施担当者がバンドン工科大学を訪問し、昨年度に引き続き「Computer-Assisted Material Innovation」と題する大学院生向けワークショップを開催し、新たな国際連携に向けて協議を開始しています。最後に、貴重な機会を与えてくださった「さくらサイエンスプログラム」にお礼を申し上げます。