2019年度活動レポート(一般公募コース)第191号
北京交通大学の学生が日本の都市交通システムの先進技術と課題を学ぶ
横浜国立大学からの報告
さくらサイエンスプログラムの支援を受け、横浜国立大学国際戦略推進機構は、2019年11月25日から12月1日までの1週間、中華人民共和国の北京交通大学の交通工学分野から、学部生2名、大学院生3名、教員1名を招へいし、交流を行いました。
北京交通大学は、鉄道工学にかかる研究教育機関を母体とした総合大学で、交通計画および交通工学分野では中国でトップレベルの大学のひとつです。2015年7月に北京交通大学副学長が横浜国立大学を訪問したことから交流がはじまり、横浜国立大学で都市交通計画を専門とする中村文彦教授が北京交通大学で特別講義を行ったほか、横浜国立大学学生が短期留学プログラムで北京交通大学を訪問し、中国新幹線シミュレーターの見学などを行うなど交流を深めてきました。2017年1月には、横浜国立大学と大学間学術交流協定覚書を締結しました。
本交流プログラムは、覚書締結後の本年3回目として計画され、北京交通大学の学生に横浜国立大学での交通分野の最先端教育やフィールドトリップを通して、交通と都市の連携について学んでいただくことを目的に実施しました。また、本学学生にとっては、同じ研究分野の中国の学生との交流により、研究に関する意見交換をするだけでなく、文化・習慣の多様性に気づき、グローバルな視野を広げる機会の一つとなすことも目的の一つとして実施しました。
交通分野の教育体験
本交流プログラムでは、横浜国立大学大学院都市イノベーション学府・研究院の交通と都市研究室(Transportation and Urban Engineering Laboratory : TUEL)の教員による交通分野の特別講義を行いました。北京交通大学で8月に予め実施した特別講義「都市交通計画(中村文彦教授)」に始まり、来日後のプログラム期間中は、「COI紹介(有吉亮特任准教授)」、「都市街路デザイン(三浦詩乃助教)」の講義を英語で受講いただき、講義内容を題材に、北京の交通事情、日本(特に首都圏)の交通事情についての意見交換を行いました。
また、TUEL所属学生による、研究内容の紹介をベースとした学生交流と勉強会の場を設けました。実践的な取組みを重視する本学交通と都市研究分野のアプローチ方法を直接的に学んでいただき、これまでにない学問の捉え方、都市の捉え方を学ぶ、有意義な機会になったのではないかと思います。
フィールドトリップ
①東急電鉄元住吉検車区および東急バス・視察
②京急富岡駅周辺における京急コミュニティーバス運営現場・視察
③神奈川県警察本部・視察
④鉄道博物館・見学
日本文化体験
横浜国立大学国際戦略推進機構の長谷川健治教授による日本及び日本文化についての特別講義と、同機構の吉田昌平教授による日本文化体験(居合道)の特別講義及び体験を行いました。
学生ワークショップ
今年のプログラムでは、実施前の8月に中村文彦教授が学生と共に北京交通大学を訪れました。招へい者選考後、事前に学生交流の機会を設け、学生同士が活発な意見交換を行うプラットフォームを築いたことにより来日後の研究室での受入や学生交流がスムーズ且つ活発に実施されることとなりました。
このプログラムを通して、北京交通大学の招へい者各位には、日本での交通分野の実践例や学びに高い関心を持っていただいたものと思います。また、日本文化体験の講義とともに、活発な学生交流を通じて、日本への理解を深めて頂いたことと思います。
先日締結された本学と中国・国家留学基金管理委員会(CSC)の協定に基づく高水平プログラムによる日本留学の機会も紹介させていただきましたので、これを機に、北京交通大学の学生が本学での先端的な研究を学ぶべく学位取得を目指して留学を考えて下さる機会に繋がる等の発展があることを希望します。そして、北京交通大学と横浜国立大学の交流が今後も更に活性化していくことも期待されます。
さくらサイエンスプログラムにて、このような機会を頂き、JSTと関係者各位に深く感謝いたします。