2019年度 活動レポート 第185号:宇都宮大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第185号 (Aコース)

サスティナブルな建築都市に関する体験と交流

宇都宮大学からの報告

2019年8月2日~8月8日の7日間、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、インドネシア(Bandung Institute of Technology バンドン工科大学)、ベトナム(University of Architecture Ho Chi Minh City ホーチミン市建築大学)、タイ(Khon Kaen University コンケン大学、Mahasarakham University マハサラカーン大学)から計15名の建築系学生と教員を招へいしました。

本プログラムでは、(1)日本の建築・都市のサスティナビリティについてのベーシックな知見を習得するためのアイディアソン、(2)より高度な知見を習得することを目的とした高度な専門知識を持つ有識者との意見交換の機会の2つの主な学習プログラムを設け、実施しました。

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集合写真

(1)アイディアソン(3日間)

2020年東京オリンピック・パラリンピックにおける「オリンピックレガシー」をテーマとして、日本の大学の学生と招へい学生の混成チームにてアイディアソンを行いました。

課題は会場周辺/会場間に配置する仮設建築物の提案とし、期間中の暑さ対策や期間後の年間を通じた利用(冬期、中間期)、災害時の利用に配慮して考えるものとしました。仮設建築物の設置場所は、2020年東京オリンピック・パラリンピックのヘリテッジゾーンの原宿周辺のエリア(2~3km圏内)内とし、チームで提案内容にあわせて自由に選択する形としました。

上記混成グループごとのワークを行うとともに、提案対象エリアの敷地見学や、先のオリンピック施設計画とその後の活用についての講義、日本のサスティナブル建築都市計画や屋内外環境のデザインなどについての講義を行いました。また、アイディアソンの最終日には、中間発表を行い、招へい教員や海外の専門家からのアドバイスを得られる機会を設けました。

アイディアソンでは学生同士の意見の交換や知識の共有が闊達に行われたと感じます。また、オリンピック期間のちょうど1年前の実施であり、具体的なイベントを対象とし、開催時期の気候を実際に体験することで、日本の建築都市に関するサスティナビリティについて、より具体的に考える機会となりました。

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グループワークの様子

(2)有識者との意見交換(3日間)

アイディアソンで習得した知見を更に深めることを目的として、SDGs分野をテーマとしたセッション(SDGs round table session in Sustainable Built Environment Conference 2019 in Tokyo;本機関共催)の聴講やアイディアソンでの成果の発表を行うセッション、サスティナブルな建築都市施設に関するテクニカルツアーを行いました。招へい学生が多様な有識者からフィードバックを得ることができる機会となるとともに、アジア諸国のニーズや学生のアイデアを国内外の研究者・実践者と共有する機会となりました。

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アイディアソンの成果をまとめたポスター展示の様子
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成果発表セッションの様子
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テクニカルツアーでの木材会館の見学

プログラムに対して、招へい者の感想からは「よい経験となった」「もっと日本の建築・都市を見学したかった」「将来日本に留学したい/日本で研究したい」などの意見があがりました。総じて、日本の建築・都市に関する科学技術への関心を高め、国際交流を促進する一定の効果があったものと考えられます。

また、受入れ機関の担当者や参加学生にとっても、日本の建築・都市分野の技術についての新しい知見を共有する非常に有意義な機会となったものといえます。