2019年度活動レポート(一般公募コース)第179号
パラオの高校生10名が環境保全をテーマとした科学技術交流に参加
国際環境技術移転センターからの報告
2019年9月4日から10日の7日間、パラオ共和国の公立パラオ高校(PHS)と私立ベラウモデクゲイ校の高校(BMS)の生徒10名、及び引率者(教員)2名を受入れ、研修を実施しました。
パラオ高校があるコロール州は、同国最大の州としてパラオの人口の半数以上が集中していること、観光資源が多く観光客の増加による深刻なごみの問題を抱えていることなどから、同国の廃棄物管理問題を背景にした環境保全をテーマに、昨年に続き、今回が2回目の実施となりました。滞在中は、当センターを拠点に、環境保全の観点から、日本における様々な科学技術の事例を学びました。
空港に到着した高校生は、長旅の疲れを感じさせず皆目を輝かせており、これから始まる日本での研修を待ち望んでいたことが伝わってきました。到着後、まずは「川越電力館テラ46」の見学からスタートしました。発電所見学や展示施設を通して、エネルギーと生活との関わり方を学びました。ここでは地元のテレビ局の取材を受け、代表の高校生は、自分たちが環境保全に関する研修を受けに来たこと、日本の科学技術をしっかり学んで、自国に伝えたいことなどを話していました。
パラオ国と友好提携を結んでいる三重県への表敬訪問では、両国の交流の歴史を含め、日本の一般的な廃棄物処理について学習しました。今年は日本とパラオの外交関係樹立25周年であり、パラオの初代大統領の父が三重県出身であることなどから、高校生はより一層親しみを覚えたようでした。
続いて三重大学では教授と大学生のサポートのもと、大型風洞実験装置での強風実験や、小型Wing Carの羽を作成して速さを競うグループワークを体験し、風力発電について学びました。大学生からアドバイスを受け、試行錯誤して実験を行うことで、科学技術の基礎に触れるとともに、日本の大学の教育環境にも関心を寄せていました。
その他、三重県保健環境研究所では分析機器の見学や、水道水、温泉水などの濁度測定などの実習を体験したりしました。また、トヨタ産業技術記念館、名古屋市科学館にも訪問しました。いずれの施設でも、全員が積極的に手で触れたりデモンストレーションの観察をしたりする活動を通して、科学技術への深い関心を示していました。
そして、前述の大学生のほか、高校生や地域の方々とも様々な形で触れ合いました。特に昨年好評だった三重県立川越高校との交流を今年も実施し、英語の授業でパラオや高校生活について紹介したり、英語クラブとゲームやクイズで交流したりほか、民族ダンスを披露するなどし、最後には記念撮影をして別れを惜しみました。
また、日本滞在中、茶道体験や、地域のボランティアのご家族と休日を過ごすなど、様々な場面で日本文化にも触れました。
帰国後、本研修参加者と、PHSの科学クラブ、BMSの全校生徒の計100名が集まった2校合同の報告会を行い、日本での学習内容や経験を共有する場を持ちました。報告会では、環境に関して学んだことや、日本の技術の素晴らしさ、日本の豊さや美しさなどが語られました。
両校は普段はほぼ交流がなかったため、両校長からは、良い交流の機会となったことに感謝するとともに、日本の多くの科学技術などの学習を通してハイレベルな人材の育成、さらに高校同士の交流を活性化させる機会として、今後も当該プログラムに参加したいとのご意見をいただきました。
2019年10月にパラオで開催された日本大使館主催の日本・パラオ外交関係樹立25周年記念式典に、遠方からBMSが学校を挙げて参加したことは、日本に興味を持った表れだと思われます。
「さくらサイエンスプログラム」のご支援の下、弊センターとパラオ国、高校の友好をより一層深める機会を得ましたこと、また、ご協力いただきました三重県、四日市市をはじめとする県内の関係者の方々にこの場をお借りしてお礼申し上げます。