2019年度活動レポート(一般公募コース)第176号
国立台湾科技大学の学生招へいに関する報告書
九州工業大学大学院 情報工学研究院械情報工学研究系
教授 鈴木 恵友さんからの報告
本プログラムでは、令和元年9月2日から9月8日までの6日間にわたり、さくらサイエンス科学技術体験コースにより国立台湾科技大学から合計11名(大学院生4名、学部生6名、引率1名)を招へいしました。
国立台湾科技大学は、大学間で協定を締結しており、学部生・大学院生を対象に毎年8名~14名程度の学生の短期留学の受入や派遣を実施しています。内容としては、情報工学部の学生を中心にロボットなど協働教育の実施や、本学の国際研究、海外における英語講義の受講、企業見学など実施しています。本学の学生に海外の学生に触れる機会を与えることで、国際的な感覚を育成するうえでいくらかの成果も確認できています。
本プログラムの実施範囲に関して、本学においては機械以外に生命など、国立台湾科技大学においては機械の他にデザイン系の学生も参加しています。また実施内容に関しては、台湾から招へいした学生は初めての来日であるため、協働学習の他にスポーツイベントや工場見学、文化体験なども盛り込むこととしました。
具体的には、(1)市販の全方位ロボットによるPBLの実施、(2)スポーツやカードゲームによる交流イベント、(3)工場見学、(4)最終報告会、(5)交流イベントから共同研究へ発展した事例紹介を中心に実施しました。
今回、学生が主体となる活動を通して、互いの意思疎通を積極的に図るようにしています。PBLの内容としては、台湾の学生と本学の学生がチームを組み、チーム毎に全方位ロボットの組み立てキットを用いて研修課題に取り組みました。特に両大学の学生同士の距離感を縮めるために、協働学習に入る前のアイスブレイクとして、学生交流イベントやチーム毎にスポーツ、懇親会を実施しました。その結果、チーム内のコミュニケーションが活発になりました。先方の引率教員からは、昨年度はチームで実施するカードゲームなどを提案されたため、本年度は交流手法として活用しました。その結果、両大学の学生が非常に円滑にコミュニケーションをとることができました。
本年度も課題に関する説明資料の主要な部分をあえて日本語にすることで、本学の学生から台湾の学生に課題内容について理解を共有するように促しました。しかし、一部の細かい内容などについては、英語で説明を実施しました。課題の内容としては、全方位ロボットを迷路で操作したときのタイムレースや全方位ロボットにペンを取り付けプログラムにより絵柄を描くことを中心としました。
また、工場見学は地元産業に関する理解を深めるため一番食品株式会社で実施しました。ここでは単純に食に関する見学ではなく機械工学に考察するように課題を出しました。日程の詳細は以下の通りです。
9月2日(月) | 午前 | 空港到着 |
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午後 | 来学、オリエンテーション(主に日本の生活に関する説明) | |
9月3日(火) | 午前 | 課題説明 協働学習のチーム割り振り、学生による自己紹介 |
午後 | 協働学習(チーム別のロボット製作)、懇親会 | |
9月4日(水) | 午前 | 協働学習(チーム別のロボット製作) |
午後 | アイスブレイク(スポーツ交流) | |
9月5日(木) | 午前 | 協働学習(チーム別のロボット製作) |
午後 | 協働学習(チーム別のロボット製作)、競技会 | |
9月6日(金) | 午前 | 一番食品工場見学 |
午後 | 最終プレゼンテーション、競技会表彰式、送別会 | |
9月7日(土) | 福岡市科学館内・福岡ロボスクエアにて、ロボット演習 | |
9月8日(日) | 午前 | 空港へ移動、帰国 |
学生間の交流は研究だけに留まらず、様々な場面で継続して行われました。
一方、参加学生が本プログラムをきっかけとして知り合いになりましたが、継続的な友好関係を構築可能なシステム作りや九州工業大学の学生派遣時へつながる仕掛けなどを考える必要があります。これらの課題を考慮しながら継続的に本プログラムを実施し、台湾と日本の学生が単純に文化交流ではなく、技術を主体とした交流をすることにより、より深くアジアの未来を担う若者同士の国際交流促進に貢献していくものとします。