2019年度 活動レポート 第168号:東京都市大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第168号

日本およびフィリピンに共通する都市防災の課題に関する学生交流

東京都市大学からの報告

さくらサイエンスプログラムの支援によりフィリピン・デラサール大学大学院生5名が、東京都市大学工学部都市工学科で「日本およびフィリピンに共通する都市防災の課題に関する学生交流」をテーマに課題解決型学習に取り組みました。今回は、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて3回目の交流プログラムの実施でした。昨年実施した交流プログラムが要因となり、本年9月にデラサール大学生1名が本学大学院理工学研究科建築・都市専攻の修士課程に入学し、同様にさくらサイエンスプログラムで来日した、タマサート大学生1名も本学修士課程に入学し、実質的な成果が現われてきています。

今回の研究交流テーマに関しては、本学およびデラサール大学双方に、自然災害に対する防災・減災技術の重要性に関する意識が強く、我が国は、地震・台風などの自然災害に対しての減災技術に関しては世界最先端であり、デラサール大学の学生を本学に招へいし、構造物のハード的な対策とリスクマネジメントなどのソフト的な戦略を学ぶ機会を設けることが双方で一致していました。今回のさくらサイエンスプログラムによる交流では、「科学技術研修コース」として2019年10月6日〜10月15日の10日間で研究交流を行いました。

オリエンテーション後の集合写真
(本学で教鞭をとるデラサール大教員と共に)

研究室への配属は、各教員の用意したテーマの説明を行った後に、学生の専門性、興味によって行いました。研究室での実質的な活動は、10月7日~10月11日に行われました。構造安全研究室では、「表層地盤特性を考慮した地震動増幅特性」、水圏環境研究室では、「津波・高潮に対する減災技術の調査研究」に関する研究が行われた。地盤環境研究室では、「遠心載荷装置を用いた斜面の安定性に関する研究」、コンクリート研究室では、「コンクリート骨材の再生に関する研究」を行いました。研究室において、交流を行いながら実験・研究ゼミ等を実施しました。

研究室でのゼミ
実験風景

しかしながら、プログラム後半の10月12日に首都圏を襲った台風19号により、本学世田谷キャンパスに被害が発生し、一部プログラムの変更を余儀なくされました。交通網の運行状況から翌日実施予定の、日本科学未来館見学を中止する状況となりました。この間、引率教員と連絡を取り、学生の安全を最優先する対応を行いました。

10月14日の成果発表会は、本学等々力キャンパスで行うこととしました。このような状況下でしたが、参加学生の発表および質疑応答は、1名あたり40分程度であり、非常に充実した内容でありました。発表会には、本学で教鞭をとっているデラサール大教員も参加しました。

成果発表の様子

残念ながら、災害発生の状況下でのプログラム実施となりました。しかしながら、数年前のマニラ水害時において、デラサール大も被害を受けており様々な意見交換を行うことが出来ました。今後も、社会基盤施設の防災・減災に関する研究交流を継続して実施して行くこととしました。