2019年度活動レポート(一般公募コース)第162号
ベトナムにおける科学体験イベント実施のための研修プログラム
三重大学からの報告
三重大学の協定校であるベトナムのホーチミン市師範大学で高校理科教員を目指す学生を対象とした理科教育研修プログラムを企画し、2019年11月6日(水)から11月12日(火)までの7日間、10名の大学生と1名の引率教員を招へいしました。
これまでに本事業で招へいした同大学の学生が「Sakura Club」を設立し、小中学生や高校生を対象としたワークショップやサイエンスショーを行なっています。今回の交流計画では、三重大学で11月9日、10日に開催する「青少年のための科学の祭典・第17回三重大学大会」に、このクラブの学生が参加して科学啓発活動の意義を相互に理解することで、科学啓発活動を発展させることを目的としました。
1日目(水)
早朝に名古屋空港に到着後、三重大学に移動し、午後から開講式、学長表敬訪問、日本における高校理科教育の現状に関する講義を行い、晩には歓迎会で歓談しました。三重大学で日本語を学んでいるホーチミン市師範大学からの留学生5名も招へい者をサポートしてくれました。
2日目(木)
午前は、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されている三重県立四日市高等学校を訪問し、課題探求授業(物理)と物理の授業を参観しました。物理を選択した40名もの生徒一人ひとりが課題を設定して実験を考えて取り組んでいる取り組みに驚き、生徒に質問やコメントをしていました。また、物理の授業では、担当の永治先生が音や光の干渉について演示実験をしながら英語で授業を進めてくれました。5つのグループに別れ、英文で用意されたワークシートの課題を生徒と一緒に考えました。高校理科教員を目指す招へい者にとって、永治先生の授業は理想とするモデルになったようです。その後、午後は名古屋市科学館に行き、展示物や科学体験を閉館まで楽しみました。
3日目(金)
三重県総合博物館の見学と、翌日からの「科学の祭典」の準備を行いました。会場となる三重大学の講堂を見て、ワークショップやサイエンスショーの進め方をチェックし、8時過ぎまで準備しました。
4日目(土)、5日目(日)
朝から「夢の国の科学実験」と題したワークショップの設営を行い、レインボー水、レモン電池、バランスシーソー、イライラ棒など、子どもたちが喜ぶものを10名が分担して準備しました。13時の開場とともに大勢の子どもたちが訪れると、わかりやすい英語で丁寧に説明し、笑顔で子どもたちに科学の楽しさを伝えていました。
また。日曜日にはワークショップに加えて、ベトナムの物語「ライスケーキの伝説」という演劇の中に科学マジックを取り込んだ、40分にわたるサイエンスショー行いました。2日間の「科学の祭典」を通じて、多くの三重大学の学生と交流することができました。
6日目(月)
午前は、三重大学教育学部附属小学校で2つの理科の授業を参観しました。児童が観察結果について意見を述べて共有していく授業スタイルに感心していました。午後は成果報告会と修了式を行い、プログラムを終了しました。夕方には名古屋空港に移動し、7日目(火)に帰国しました。
短期間で密度の高いプログラムであったことから、招へい者にはかなりハードだったようですが、小さい頃の科学体験活動が高校における課題探求に重要であることを認識し、また、全員がチームワークと適応力を高めることの重要性を再確認していました。