2019年度活動レポート(一般公募コース)第161号 (Aコース)
医療看護分野におけるICT技術の導入と人材育成研修~VRを取り入れた看護教育の実際
高崎健康福祉大学からの報告
2019年10月20日から26日までの7日間、ベトナム・ホーチミン医科薬科大学看護学科学生5名および教員1名、タイ・タマサート大学看護学部学生5名および教員1名、計12名を招へいし、科学技術交流体験コースのプログラムを実施しました。
本プログラムは、アジアにおいてとりわけ高齢化が急速に進んでいるタイ・ベトナムの看護学生を受け入れ、認知症看護やがん専門医療人材育成などに関する講義、ICT技術を取り入れたバーチャルリアリティー認知症体験、施設視察などから構成されたものです。
10月22日
「認知症看護」をテーマとした講義では、超高齢社会がもたらす課題や、日本の高齢者医療制度、日本における認知症施策や認知症者への看護教育システムについて学びました。招へい学生からは高齢化が進んでいる母国の状況を鑑みた質問が多くなされ、安全、安心に配慮する看護の必要性や高齢者に寄り添う看護活動を考える機会となりました。
10月23日
「がん看護専門看護師」についての講義では、がん看護専門看護師教育の背景や教育システム、役割について学びました。ベトナムではがん専門看護師の教育制度がまだなく、またタイにおいては、近年がんによる死亡率が上昇しているため、招へい学生達の関心も大変高く、がん看護専門看護師による「重粒子線がん治療における看護」についての特別講義では、重粒子線治療に適したがんの種類や、治療に際して必要な看護についての知識を得て、先進医療を知ることにより視野が広がったとの声が多く聞かれました。
10月24日
本学付属の訪問看護ステーション視察では、超高齢社会を迎えている日本の背景、訪問看護師が担う役割などについての講義を受け、訪問看護師が実際に家庭訪問する際の訪問カバンの中身を見て、看護の工夫を垣間見ることができました。午後は、バーチャルリアリティー(VR)ゴーグルを装着しての認知症体験演習です。他人には見えずに認知症者にだけ見えるものや、認知症者が感じていることなど、認知症の中核症状や周辺症状を理解するとともに、認知症者に対する考え方や関わり方についても活発なディスカッションが行われました。
10月25日
講義や体験演習の合間に、高崎市の伝統文化であるだるま絵付けを日本人学生と一緒に体験しました。午後は、1週間の学習を通して学んだことを発表し合い、ベトナム・タイの伝統舞踊披露で締めくくりました。
10月26日
国境を越えて共に看護師を目指している仲間同士の交流も今日で終わりです。それぞれに別れを惜しみながら、思い出がぎっしり詰まったスーツケースを手に招へい学生は無事帰路につきました。
本プログラムの実施において、ご尽力をいただきました全ての方々に深く感謝申し上げます。