2019年度活動レポート(一般公募コース)第153号
最先端顕微鏡技術等を駆使した最新の材料分析技術体験
九州先端科学技術研究所からの報告
2019年8月18日から8月24日の7日間に、さくらサイエンスプログラムのご支援を受け、中国の西安交通大学の学部生8名、大学院生2名と引率教員1名を福岡に招へいし、最先端顕微鏡技術を用いた材料分析体験活動等を行いました。
8月18日
来訪者全員が福岡空港に無事到着した後、ホテルまで引率しました。ホテルに到着後、翌日からの活動内容の簡単な説明と集合時間などの案内を行った後、次の日からの活動のための準備を各自でしていただきました。
8月19日
九州先端科学技術研究所の百道浜オフィスにてオリエンテーションならびに研究所の全体紹介や産学官連携を中心とする種々の活動を紹介し、今回の訪問で学んでもらいたい事項について説明し、各種書類記入と必要な手続きを完成させました。引き続いて、研究所内のオープンイノベーション・ラボの研究者より、最新のAI・IoT技術について紹介するとともに、実際に最新技術のVR体験等を行ってもらいました。その後、百道浜オフィス近くの福岡タワーに登って博多湾と福岡市の全体風景を見学してもらいました。夕方からは福岡市内で懇親会を開催し、学生から自己紹介と将来の夢も語ってもらい親睦を深めました
8月20日
あらかじめ詳細に説明していた地下鉄とバスを利用するルートで、福岡市産学連携交流センターに集合してもらいました。この日は同所マテリアルズ・オープン・ラボのナノ材料グループのメンバーの指導により、学生自身が実験条件を設定し、金ナノ粒子の合成実験を体験しました。続いて山田研究所長兼マテリアルズ・オープン・ラボディレクターよりナノ材料関連の基礎から最先端研究までを学生に紹介しました。その後、有機光デバイスグループの八尋グループ長が最先端有機発光デバイスの紹介を行い、グループ所有の最新設備の見学も行いました。
8月21日
福岡市産学連携交流センター分析機器室にある最先端電子顕微鏡等を利用して、昨日、学生自身で合成した金ナノ粒子を観察しました。ナノ材料グループの研究者が電子顕微鏡の原理と操作方法を紹介した後、学生自身で最先端の電子顕微鏡を操作してもらいました。学生自身の操作でナノ粒子の拡大像が見えた瞬間は歓声も出て、全員が大興奮の顕微鏡体験となりました。
中国では学生自身で高価な分析機器を操作する機会は皆無に等しいため、今回の実体験は大変感動したようでした。また、電子顕微鏡の実習の際には、企業での電子顕微鏡操作経験が30年以上の熟練技術者にも手伝っていただきましたが、全員が操作技術を習得しようと大変熱心に説明に聞き入っていました。
8月22日
本プログラムの準備等で大変お世話になった九州大学工学研究院長への表敬訪問を行いました。九州大学工学研究院付属国際教育センターの陳センター長より九州大学の国際教育を紹介していただきました。また在学中の中国出身の留学生20数名との交流会も行ない、日本への留学について多くの情報を得ることができたと喜んでいました。
その後、九州大学の世界最先端研究を行なっている4つの研究施設(超顕微解析研究センター、水素エネルギー国際研究センター、カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所、最先端有機光エレクトロニクス研究センター)を見学し、九州大学の最先端大型研究設備の充実ぶりに驚いている様子でした。
8月23日
午前中はJR九州を利用し、研究所の所長ら4名の引率により、北九州市にある安川電機みらい館を見学しました。ここでは人間の手の様に動くロボットアームがものづくり産業の様々な工程で重要な役割を果たしていることを知ることができ、ロボットアームの巧みに動く様子に目を奪われていました。また、ミニゲームなどでロボットと対戦し、楽しみながらも、ロボット技術の素晴らしさに驚嘆していました。
午後には再びJR九州を利用して福岡市に戻り、福岡市科学館を見学しました。見学後は福岡市科学館のご協力を得て科学館にて修了式を開催しました。学生全員と引率の先生から本活動参加の感想を語っていただいた後(日本語で話してくれる学生の方もいました!)、山田所長より全員に修了証を渡していただきました。多くの学生が近い将来、もう一度日本に留学または仕事で来たいと話し、今回の訪問でその思いがさらに強まったようでした。
8月24日
最終日は、飛行機の遅延というトラブルに見舞われたものの、全員無事福岡空港から中国に帰国したとの報告を受けました。以上の充実した実施内容を通して、電子顕微鏡技術を中心とした日本における最先端材料科学の現状を来訪の学生に伝えることができました。また、産官学連携の重要性も学生に教示することにより、将来日本での就職に対するモチベーションを深めることができました。また産業界やアカデミアにおける日中友好を学生に感じてもらうことができたと考えています。