2019年度 活動レポート 第150号:熊本大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第150号

環境水中の有機分子の高速・高精度分析システムの開発に関する国際共同研究プログラム

熊本大学 大学院自然科学教育部
材料・応用化学専攻 超分子化学ラボからの報告

本科学技術体験国際交流では、環境水中の有機分子の高速・高精度分析システムの開発に関する国際共同研究、ならびに本学若手研究者・学生との共同研究、交流を目的とし、熊本大学超分子化学ラボにおいて、2019年8月27日から9月10日の15日間の研修プログラムを実施しました。本プログラムは、3年間の共同研究型のプログラムであり、これまでに2017年度に4名、2018年度に3名の若手研究者、大学院生を招へいしています。最終年度にあたる今年度は、バングラデシュ人民共和国のダッカ大学から若手研究者3名(大学院生)を招へいしました。ここでは、研修の様子や交流活動の様子を写真とともにご紹介します。

JR九州新幹線総合車両所にて

研修・共同研究プログラム

本プログラムでは、環境および環境分析に関する講演会を実施するとともに環境水中の有機成分の分析に関する共同研究プログラムを実施しました。教員から、熊本大学・超分子化学ラボの紹介ならびに環境分析用に開発を進めている液体クロマトグラフィ用固定相に関する講演を行い、分析技術やサンプリング方法に関する議論を行いました。

また、環境水分析実験では、水の前処理、管理方法、さらに高速液体クロマトグラフィを用いた環境水中の有機成分の分析を行いました。熊本県内各所の水を採取し、その分析結果について議論する機会を設けました。また、本学の留学生による有機化学、材料化学分野の先端科学講義を行うとともに、学生による研究テーマのショートプレゼン、また普段の生活や文化などを紹介するグループディスカッションなどを実施し、相互理解を深めるとともに、若手研究者交流の機会としました。これらの活動を通して、互いに理解しあうと同時に刺激を受ける良い機会になったのではないかと思います。

水分析実験の様子
若手研究者・学生のグループディスカッションにて

体験プログラム

体験プログラムでは、県内の研究・開発拠点である熊本県産業技術センターを訪問、見学するとともに、同センターが中心となって熊本地域で推進されているJST地域イノベーションプログラムについても説明を受けました。また、宇城市にある味噌・醤油醸造所、寒天・ところてん工場を見学しました。熊本県は地下水に恵まれた水の国であり、それらを用いた日本の伝統的な食品加工について学ぶ良い機会になりました。また、JR九州の熊本総合車両所の見学にも行き、新幹線の車内を実際に見学したり、日本の最先端の交通機関を体験してもらいました。

味噌・醤油醸造所の見学

滞在期間中、研究交流を行う一方で、大学や周辺地域の案内を行い、日本の文化や風土について知っていただく良い機会となりました。阿蘇エリアの国立公園を訪問し、阿蘇地域の水源や火山博物館で、伏流水を生み出すメカニズムや水環境の保全状況等について学習してもらいました。また、熊本市内、熊本県内の歴史的な史跡等を巡り、日本文化にも触れる機会を設けました。また2016年4月に発生した熊本地震からの復興の様子や、熊本大学の修復等を含め、見学していただく機会を設けました。これらの見学プログラムは、本学の大学院生が主体となって計画し、実施してもらいました。熊本の自然や歴史を楽しみながら学ぶことで、あらためて日本文化への関心が深まったようでした。

阿蘇地方での昼食(高森田楽)の様子

本プログラムを実施するにあたり、ご協力いただきました本学の教職員の皆様ならびに国際交流に積極的に参加してもらった本学の若手研究者、大学院生に感謝いたします。また、多大なご支援をいただきました「さくらサイエンスプログラム」に深く感謝いたします。