2019年度活動レポート(一般公募コース)第144号
令和元年度JSTさくらサイエンスによるインドネシア・ガジャマダ大学の研修実施
茨城高専 グローバル教育センター
蓬莱 尚幸さんからの報告
1. はじめに
インドネシア・ガジャマダ大学との学術交流協定に基づき、令和元年10月2日(水)から10月11日(金)までの10日間で4名の電気情報工学科(Department of Electrical Engineering and Informatics)の学生Amelia Dewi(アメリア・デウィ)とBryan Nuril Inzaghi(通称:ブライアン・ヌリル・インザギ)とDeni Ari Saputro(通称:デニ・アリ・サプトロ)とFajar Irawan(通称:ファジャル・イラワン)と1名 の電気情報工学科の教員のGalih Setyawan(ガリ・セチャワン)が交換留学・研修を目的に来校しました。
2. 実施日程・プログラム
本プログラムでは、インドネシア人学生と本校の高専生が共同でインドネシア固有の問題を科学技術を用いて解決することを題材にしたPBL (Project Based Learning)短期プロジェクトに参加しました。英語を主要コミュニケーション言語とし、双方の学生が母国語ではない共通言語を介して共同作業する体験をすることを目的としました。このPBLと並行して、本校教員の指導の下でデータ分析の実習も行いました。これら2つの活動に関して、プロジェクト最終日の成果報告会において口頭発表をしました。
PBLは学生を2グループ(インドネシア2人+日本2人、インドネシア2人+日本人3人)に別れて実施しました。PBLの具体的な題材としては、ガジャマダ大学内での問題である「教室の電灯の切り忘れ防止」と「駐車場の入退管理と盗難防止」をインドネシア人学生に事前に用意してもらいました。このPBLに参加した日本人学生を今年度中にガジャマダ大学に派遣し、このPBLで得られた解決策の実現化に向けて詳細化するPBLを実施する予定です。
データ分析の実習では、世界中の900以上の都市の月別平均気温のデータを対象に、三角関数(周期12ヶ月)の回帰分析を実施しました。
インドネシア人学生は、10月9日(水)に開催された本校の体育大会の見学も行いました。また、インドネシア人学生と日本人学生は一緒に近隣のひたち海浜公園の散策も行いました。英語でのコミュニケーションを用い、共同作業する体験を共有することができました。報告会は、インドネシア人学生と日本人学生によるPBLの成果発表とインドネシア人学生の本研修全般に関する成果発表の2部構成となりました。
研修期間中の宿泊先は、インドネシア人学生4名は本校の寮に滞在していましたが、引率教員は本校の近くにあるホテルに宿泊しました。最終日は成田空港近辺のホテルに宿泊しました。
3. 実施内容の詳細
<10月2日(水)>
7時25分成田着の便で来日し、12時頃本校に到着しました。学校案内とアカデミックツアーの後、16時から歓迎交流会を行いました。歓迎交流会のときに、このプロジェクトに参加する日本人学生と顔合せし、日本料理を食べながら歓談しました。
<10月3日(木)>
9時から途中で昼食を挟んで15時までPBLを実施しました。チーム作り、アイスブレーキング、インドネシア学生による課題(現状)の説明と質疑応答、課題に対する問題点の分析を行いました。その後データ分析実習を実施しました。本実習で学ぶ回帰分析の概要の説明、各種データ(月別平均最高気温、月別平均最低気温、月別降水量)の説明、データの周期性についての解説を行いました。
17時からは本校の交際交流クラブの活動に参加しました。本校に在学する留学生や日本人学生とボードゲームに興じ、親交を深めました。
<10月4日(金)>
9時から11時まで、データ分析実習を実施しました。多項式関数を例にとって回帰分析手法について解説し、気温データに対する固定周波数の三角関数の回帰分析の有効性と限界について議論しました。11時からイスラム教礼拝のため水戸にあるモスクに訪れた後、PBLを実施しました。前日の作業で洗い出された問題点を確認し、それらの問題点に対する複数の解決策を見つける作業を行いました。
15時から17時まで、データ分析実習を実施しました。本実習のメインテーマである三角関数の回帰分析を行うに際して必要な基本的な統計学を学習しました。
<10月5日(土)>
終日、データ分析実習を実施しました。前日から引き続き統計学を学習し、偏微分を用いる線形回帰分析まで学習を進めました。
<10月6日(日)>
午前中、インドネシア学生と日本人学生がひたち海浜公園に遠足に行きました。午後はPBLを実施した。洗い出した解決策から1, 2個を選び、その実現方法の設計に着手しました。
<10月7日(月)>
これまでの結果をチームごとに中間発表を行い、前日から引き続き解決策の実現方法の設計を行うとともに、その解決策を行う場合に発生すると思われる問題点およびその問題点に関する解決策の検討も行いました。さらに、コスト面等の実現可能性についても議論しました。
<10月8日(火)>
前日の作業を続行するとともに、各課題における問題点から解決策までを説明するためのストーリ作りも行いました。
<10月9日(水)>
本校の体育大会を見学しました。PBLに参加している日本人学生が出場する種目の応援などを行いました。
<10月10日(木)>
9時から11時まで成果報告会のための発表準備を行いました。11時から成果報告会を開催しました。前半はチームごとにメンバー全員でPBLの成果を発表し、後半はインドネシア学生が活動報告を行いました。最後に、本プログラムの修了証の授与を行いました。報告会終了後、12時半から送別会を実施した。帰国便の出発が早いため、成田空港近くのホテルに移動しました。本校教員1名が引率しました。
<10月11日(金)>
11:05成田出発便にて、インドネシア人一行は母国への帰路に着きました。