2019年度 活動レポート 第138号:早稲田大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第138号

日本における先端環境対策技術:環境対策技術とリサイクル技術

早稲田大学創造理工学部
教授 所 千晴さんからの報告

さくらサイエンスプログラム(C 科学技術研修コース)で招へいされたマレーシア工科大学の教員及び学生の7名、ラオス国立大学の教員及び学生の3名、ベトナム国家大学ホーチミン市校工科大学の教員及び学生の3名(計13名)が、2019年9月29日から10月6日の8日間にわたり早稲田大学創造理工学部環境資源工学科所研究室に滞在しました。

本プログラムでは、日本の公害や現在の厳密な環境対策、廃棄物処理や金属リサイクルなどの資源循環推進に至る歴史と技術を学ぶことによって、世界のこれからの資源循環のあるべき姿を共に議論することを目的としました。

初日

招へい者13名の成田空港から宿舎への送迎を行いました。

2日目

自己紹介・大学紹介を行い、廃水処理、リサイクルなどの研究内容を共有しました。キャンパスツアーでは、実験施設や機器の見学のほか、大隈講堂の訪問など本学の雰囲気を体験しました。夜は歓迎会を持ち親睦を深めました。

大学紹介の様子 (Vietnamより)

3日目

午前は日本における廃水処理の概要および所研究室の廃水処理研究の紹介を行い、午後は廃水処理を模擬した有害元素の除去実験を行いました。実験から測定までの流れや有害元素の除去機構について学び、廃水処理の有効性について勉強しました。

廃水処理実験の様子

4日目

JX金属日立事業所を訪問しました。日鉱記念館、鉱山廃水処理施設、廃電子基板リサイクル設備、銅の電解精製工場、技術開発センターを見学し、日立鉱山の歴史、日本の環境保全、リサイクル技術、精錬技術、金属部品製造技術について学びました。招へい者は全ての見学コースで積極的に質問し、日本の環境技術への関心が高く、自国の状況と照らして学ぼうとする姿勢が見られました。

5日目

午前は粉砕技術やリサイクル技術の概要および所研究室の資源リサイクル研究の紹介を行いました。午後は選鉱やリサイクルにおける粉砕とふるい分けの実験を行い、粉砕前後の粒度分布を導出することにより粉砕の評価が出来ることを学びました。

資源リサイクル実験(携帯電話を粉砕し、篩分け粒分毎に粉砕品を回収)の様子

6日目

社会環境工学科柴山研究室による動画を交えた芝山先生の講義や研究紹介、波浪水槽の実験観察を行いました。海岸工学や波浪、津波の現象、被災のメカニズム,減災について理解を深めました。

波浪水槽の実験見学

7日目

日本科学未来館を訪問し、各分野の先端の科学技術系の展示にふれました。学生は興味津々に多様な展示を体験し、特に将来の地球の持続可能性について興味を持った様子でした。夕刻にはプログラムのまとめをし、所教授より修了証を授与し、送別会を行いました。

修了式後の集合写真(招へい者と早稲田大学関係者)

送別会の翌日、ベトナム、ラオス、マレーシアの各国へと帰国しました。

本プログラムを終え、ベトナム、ラオス、マレーシアのいずれの学生からも非常に好評な意見が多く、我が国での環境対策や資源循環への取り組みに対して刺激を受けたように感じました。一方で、各国のギャップを知ることで日本人学生も国を超えて取り組む必要性を感じることができ、有意義な8日間でした。