2019年度活動レポート(一般公募コース)第092号
台湾の大学生が持続可能社会のための先端分析・先端材料開発を体感
関西学院大学からの報告
2019年6月26日から7月2日の7日間、さくらサイエンスプログラムで、台湾東海大学(THU)のInternational Collegeで推進されているSustainability Science & Engineering Program(SSE)で学ぶ学生10名と引率の教員1名の総勢11名を招へいし、関西学院大学理工学部(KG-S&T)の教育研究環境とKG-S&T教員が関わる研究施設の見学・体験学習が行われました。
今回のプログラムは、「持続可能社会のための先端分析・先端材料開発の体感」と題して、KG-S&T 先進エネルギーナノ工学科、環境・応用化学科の2学科が協力して実施しました。持続可能な社会に対して、科学技術の側面から貢献できる人材育成に教育に取り組む共通の意識を持ったTHU-SSEとKG-S&Tの交流が特徴です。
6月26日
理工学部の北原学部長の歓迎の挨拶、理工学部国際交流推進委員会の藤委員長の激励の後、プログラム説明、オリエンテーション、キックオフ会議が開催され、2日目からの本格的なプログラムに備えました。
6月27日
午前は環境・応用化学科の壷井教授による最先端の機器分析法についての講義です。蛍光エックス線分析法と、誘導結合プラズマ質量分析法について、その原理を学びました。受講生は昨日の移動の疲れも見せず、講義を熱心に聞き入っていました。講義終了後には質問もたくさん出ました。
午後はいよいよ実験です。3グループに分かれて行いました。自ら調整した試料を先端分析装置で測定し、最新の元素分析技術を体感しました。最後にディスカッションルームで今日の講義と実験についてのまとめを行いました。緊張もほぐれ、打ち解けた様子で宿舎に帰りました。
6月28日
午前はSPring-8の見学です。本学着任前SPring-8に在職し、持続可能なエネルギー社会実現を目指し本学に異動した先進エネルギーナノ工学科の藤原教授が、大型放射光施設SPring-8やX線自由電子レーザーSACLAの施設の特徴や施設がどのような研究に使われているかの説明をしました。その後、施設で使われている装置・機器の展示物で電子の加速や放射光の発生について理解を深めました。
午後は、一般見学では立ち入ることの出来ない実験ホールへ。世界最高性能の分析ツールが巨大なーホール内に並んでおり、まさに日本の最先端技術に触れる機会となりました。本学理工学研究科が使用しているビームラインや台湾が使用しているビームライン、また、そこで行われている研究内容について学びました。大型の施設に圧倒されつつも、施設の運転の原理やSPring-8でしかできない測定について学びました。
6月29日
午前は環境・応用化学科の増尾教授による色素増感太陽電池につての講義です。受講生は、再生可能エネルギーの必要性と太陽光発電の原理について学びました。
午後は、いよいよ太陽電池作製です。自作の色素増感電池は発電しましたが、スピーカーから音楽を流すことはできなかったので、それぞれが作製した電池をもちより直流につなげたり、発電性能が低い原因を考察しました。研究を進める上での、考察とフィードバックの仕方についても学ぶ機会になりました。
6月30日
来日から4日間、土曜日までみっちりと講義、実験、施設見学を行ってきた学生さんは、日曜日を利用して、日本文化への理解も深めるために、本学教員2名と学生1名と共に、京都・嵐山を散策しました。文化や自然に触れながらの交流は、講義や実験を通しての交流とは一味違う国際交流の機会にもなりました。午前は雨、午後は高湿度の環境ではありましたが、皆さん伝統・文化を大切にしながら技術立国として存在感を示す日本を堪能しました。
7月1日
午前は、本学国際教育・研究センター職員が、海外からの学生へ提供するプログラム、特に、KG-S&Tが推進する国際修士プログラムや大学のサポートについて説明した後、さくらサイエンスプログラムの体験を機会にKG-S&Tの博士前期、博士後期課程に進学した留学生2名の体験談やキャンパスライフについて説明しました。招へい者からは、留学を想定した質問が活発なされました。
午後は、本プログラムの集大成として、今回のプログラムで学んだことを3チームに分かれてて報告しました。3チームがそれぞれ個性的な発表をしました。専門的な質疑応答も活発に行われ、短い期間での体験を今後どのように生かすかという将来展望にも触れた頼もしい発表もありました。
参加者全員がプログラムを無事修了し、修了式にて、北原理工学部長より、修了証書が授与されました。
7月2日
参加者全員が元気よく無事に帰国しました。近い将来、今回の訪問メンバーの中から関西学院大学へ留学する学生さんが現れる事を期待します。
最後になりましたが、本プラン実施に際して、多くに皆様にお力添えを頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。有難うございました。